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「記憶の素描」(1)人形の家の過去-石沢麻依(芥川賞作家)

 時折、ふと誰かが投げた言葉の釣り針に引っ掛かってしまうことがある。病院の待合室、列車の中や駅のホーム、信号待ちの横断歩道、客足が遠のく時間帯の店などで、不意に言葉を掛けられ、そのまま誰かの語りに巻き込まれることになるのだった。それは大概、街の案内や、ひっそり置かれている物の背景的な説明から始まり、…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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