ハンセン病療養所 苦楽伝えた文芸誌休刊 青森・創刊91年

 青森市の国立ハンセン病療養所「松丘保養園」で入所者らの文芸活動を支え、創刊91年となる機関誌「甲田の裾」が、9月発行の705号で休刊した。国内の療養所機関誌の中では東京の多磨全生園に次ぐ伝統があるが、高齢化で原稿が集まりにくくなり、発行の継続が困難になった。

 甲田の裾は年4回発行でA5判、30ページ。500部を園内のほか、各地の療養所や保健医療機関、文芸の関係者などに送付。最近は園内行事や新任職員の紹介を中心に、療養所の今を伝えてきた。

 1930年12月、「どうせ泣いても泣ききれないものなら、いっそ笑って過ごそう」と創刊された。国の強制隔離政策で古里を離れ、重労働もあった入所者たちが川柳や短歌、俳句、エッセーなどを投稿。日々の暮らしから生まれた思いや望郷の念などを文芸で表現してきた。戦争で3年間の休刊を挟み、最盛期は月刊で80ページの特集号を出すこともあったという。

 入所者の高齢化が進み、2007年に外部編集者を雇用したが、今年3月に退職。寄稿の減少も響き、休刊を決めた。現在の入所者数は58人で平均年齢87・9歳。07年から編集局長を兼務する入所者自治会の佐藤勝会長(73)は「甲田の裾は交流の場でもあった。大変悩み、残念だが休刊せざるを得なかった」と話す。

 機関誌の規模縮小は各地で広がる。全国13の国立療養所入所者数は1001人で、平均年齢87・0歳(5月現在)。群馬県の「栗生楽泉園」では昨年12月に機関誌の発行を終えた。現在は職員を中心に4ページの広報紙を年4回出している。

松丘保養園の文芸活動を支えた機関誌「甲田の裾」。右端が最新号
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