「実感が追い付かない」 芥川賞の石沢さんが記者会見

石沢麻依さん

 デビュー作で芥川賞に選ばれた仙台市出身の石沢麻依さんは14日、東京都内での記者会見に留学先のドイツからオンラインで参加し、「実感が追い付かない。うれしいより恐ろしい感じ」と戸惑い気味に話した。

 東北大文学部で心理学、同大大学院で西洋美術史を専攻した。2017年からドイツの大学の大学院博士課程に進み、ルネサンス美術の研究に取り組む。

 受賞作「貝に続く場所にて」の主人公と同じく、東日本大震災当時は、仙台市内の内陸部に暮らす大学院生。文学への関心は以前からあったが、深刻な被害を受けていない立場で震災を題材に書くことに罪悪感ややましさを感じていた。

 創作に踏み出したきっかけの一つに、4年前に仙台で生まれた公募の仙台短編文学賞がある。「たくさんの人が少しずつ声を出そうとしている。ちゃんと向き合えない弱さをモラルのせいにせず、断片だけでも私も声を上げなければと思った」という。

 開幕が迫る東京五輪が掲げる「復興五輪」の理念への危機感にも突き動かされた。「沿岸の津波被災地や原発事故の避難区域が取り残されている。そこに復興のメッセージを押し付ければ、過去の出来事が正しく捉えられなくなる」と、「記憶」をテーマに選んだ作品に込めた思いを語った。

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