社説(11/16):コロナ会計検査院報告/目に余る 無駄と不透明さ

 会計検査院が2020年度の決算検査報告をまとめた。

 総額2108億7231万円に上る税金の無駄遣い計210件のうち、ひときわ目立ったのは、持続化給付金事業の再委託や布製マスクの大量保管など、新型コロナウイルス対策のずさんさだ。

 行政窓口の混乱や事業の緊急性といった事情を考慮しても、政策決定から実施に至る過程の不透明さや迷走ぶりは見過ごすことができない。

 検査院が調査したコロナ対策費は、政府が19~20年度に計上した65兆円余り。このうち未執行額は約3割の約22兆円に上り、使途がなく、繰り越されない不用額も1兆円を超えた。

 使い切れなかった23兆円が仮に飲食店などの補償に振り向けられていれば、休業や時短営業を余儀なくされながらも、廃業や倒産に追い込まれずに済んだケースが少なからずあったに違いない。

 本当に支援を必要としている人々の姿が見えていたか。支出規模をいたずらに膨らませていなかったか。改めて問い直す必要があろう。

 受託団体から外部への再委託が問題になっていた持続化給付金事業は再委託率が99・8%に上り、その大半は電通に集中していた。

 最大9次まで委託が繰り返され、契約状況の確認さえ困難な状態になっていた。所管する中小企業庁には、再委託の必要性などを検討した記録もなかったというから、あきれるしかない。

 一方、事業費が500億円を超えた布マスクの配布は、全て随意契約による調達だった。品質保証や素材などの仕様書がなかったため、不良品の検査などに21億円以上の追加経費がかかった。

 さらに全体の3割に当たる約8300万枚は配布されず、これを倉庫に保管するため昨年8月から今年3月までに約6億円を費やしていた。

 この事業を巡っては、当初からマスクの品質や効果を疑問視する声があったのに加え、各家庭に届いたころには品薄状態が解消されるなど、実施自体に厳しい批判があったことも忘れてはならない。

 政府は在庫が大量に発生したことについて「随時配布に見直したためで、調達に問題はなかった」(磯崎仁彦官房副長官)としている。

 迷走したコロナ対策を真摯(しんし)に反省することなく、強弁する姿は安倍・菅政権と変わっていない。これでは、とても国民の信頼は得られまい。

 緊急事態宣言が続いた影響で、検査院は今回、地方での実地検査が制限されるなど、必ずしも十分な調査が行えなかった。指摘した無駄遣い210件は、比較可能な1994年度以降で最も少ない。

 東京五輪・パラリンピックの収支や数十兆円規模の経済対策などには、引き続き厳格な調査が求められる。検査方法を工夫し、行政の無駄遣いに目を光らせてほしい。

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