(128)原子炉を遮るたとえば白障子/渡辺 誠一郎(1950年~)

 障子は冬の季語。真っ白な和紙の障子は、光を採り入れつつ寒さを防ぎ、冬の日本家屋を美しく演出する。一方で科学技術が生み出した原子炉は、分厚い金属壁で幾重にも覆われている。2011年の福島第1原発事故により、放射性物質を遮り制御できると信じた人間の思惑はもろくも破れた。作者はいっそ「白障子」で遮ってはと、その危うさを風刺する。紙(障子)一重という言葉があるが、自然光と親しく暮らす人々の生活は、その危機と隣り合わせである。句集『赫赫』より。(永瀬十悟)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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