(130)道が野にひらけて兎いま光/神野 紗希(1983年~)

 少し説明が難しい、感覚的な句です。まっすぐに続く道は、両側が建物や街路樹で立て込んでいる想像をしました。進んでいくとぽっかりと広い野原に出て、遠くに兎(うさぎ)が一匹たたずんでいます。兎は冬の光に輝いて、まるで光そのものになったかのように描かれています。道がひらけるということは、今までの苦労と成功の比喩のようにも受け取れます。そこで光になっている兎は、この道を歩いてきた少し未来の自分自身のようにも思うのです。句集『すみれそよぐ』より。(及川真梨子)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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