宮城の公立高入試、志望校選びの動向は? 難関校の出身中学を調べてみた

 宮城県の公立高入試は年明けの1月中旬に出願希望調査が行われ、2月中旬の出願、そして3月4日の本試験と一気にスケジュールが加速する。仙台市内11カ所で学習塾を展開する「個別教室のアップル」の木下啓教務マネジャー(33)に志望校選びの傾向、難関校の進学状況を教えてもらった。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

仙台三の国公立大現役合格率6割以上

 ―偏差値に基づいた難易度の上位は。

 「直近10年は仙台二がトップなのは間違いない。2~4位は年度ごとに入れ替わりはあるが、仙台一、宮城一、仙台二華の3校。次に仙台向山、仙台三、宮城野、泉館山のグループが続く」

 ―出願倍率の動向は。

 「これまでは仙台一が高かったが、今年は出願希望調査の結果を受け仙台南や仙台二華に分散した。仙台二は毎年1・2倍程度で安定している。仙台三は普通科・理数科ともに高かったが、今年は理数科が1・05倍に落ち着いた。仙台二華は1・1倍前後を維持している」

 「宮城一はここ2年、連続で高い。女子校だった名残で男子生徒は2割程度しか在籍していないが、少しずつ男子の人気が高まっているようだ。2023年8月に新校舎となることも多少影響している」

 ―大学進学の特色は。

 「仙台三は近年、国公立大現役合格率が60%以上を誇る。40~50%程度の他のナンバースクールと比べ群を抜いている」

 「国立大医学部に絞ると仙台二が過去3年のデータで10人以上と高く、仙台二華が次ぐ。東京大・京都大では仙台二が毎年10人以上を出し、5人以下の他校に差をつけている」

 「東北大で見ても仙台二は4人に1人の割合でずばぬける。次いで仙台一、仙台三が8人に1人。仙台二華は20人に1人、宮城一はさらに少ない水準となっている」

木下教務マネジャー

受験生は授業のレベル、保護者は進学実績を重視

 ―仙台二などいわゆるナンバースクールに多く入学する中学は。

 「仙台市内の宮城教育大付属、仙台一、五橋、上杉山の4校は多くの生徒が学習塾などに通い、以前から高い割合を占めている」

 「宮教大付属は英語教育で有名な明泉幼稚園(仙台市泉区)から入った生徒が多く、英語にアドバンテージを持っている。部活動がなく、曜日限定の緩やかなサークル活動なのも受験には追い風になっている」

 「太白区の長町や富沢地区はマンションや宅地の開発が進み、教育に関心の高い家庭が増えた印象だ。放課後の学習サポートなどで学力は上がっているが、履修の速度は中心部と比べるとまだ遅い」

 ―出願校はどのように選ばれているか。

 「中学生は、授業のレベルやブランドイメージに加え自宅からの近さ、通学の利便性で選ぶ。先輩がいるかどうか、部活動が強いかどうか、校舎がきれいかどうかもある程度考慮しているようだ。保護者はやはり進学実績を重視する傾向が強い」

 「13年度に調査書点の比率が明示されるようになってから、現在の学力と通知表を踏まえ、現実志向で志望校を選ぶ生徒が増えたように感じる」

仙台一は富沢、仙台二は宮教大付属トップ

 難関のナンバースクールには、どの中学校から多く進んでいるのか。過去10年間(2012~21年)の入学者の合計を調べた。

 調査対象は便宜上、仙台一、仙台二、仙台三、宮城一、仙台二華の5校とした。各校の学校要覧に記された「出身中学校別生徒数」を集計した。

 仙台三、宮城一は普通科と理数科を合算。中高一貫校の仙台二華は高校からの入学生を数えた。

 中学校は断りのない限り仙台市内。かっこ内は5月1日現在の生徒数。単位は人。

仙台一高=仙台市若林区元茶畑

▼仙台一高(定員=普通科320人)
(1)富沢(966)=166
(2)五橋(674)=152
(3)長町(894)=124
(4)宮城野(737)=88
(5)八木山(399)=83
(5)上杉山(494)=83
 富沢は市内最多の生徒が在籍し、学力水準も高い。五橋は生徒数の違いを考慮すれば実質最も多いが、直近3年は一桁台とひと頃に比べて減った。近年は広瀬や仙台一が増加傾向にある。

仙台二高=仙台市青葉区川内澱橋通

▼仙台二高(定員=普通科320人)
(1)宮城教育大付属(472)=350
(2)仙台一(615)=260
(3)五橋(674)=189
(4)上杉山(494)=161
(5)寺岡(390)=115
 中心部にある中学校が上位を占める。この傾向は10年間、大きな変化がない。寺岡、吉成(167)といった北方面の住宅地にある小中規模校も多い。近頃は長町、富沢が増えている。

仙台三高=仙台市宮城野区鶴ケ谷

▼仙台三高(定員=普通科240人、理数科80人)
(1)八乙女(501)=129
(2)台原(536)=126
(3)富谷市成田(250)=116
(4)仙台一(615)=89
(5)宮城野(737)=86
 アクセスが相対的に不便なため、自転車などで通いやすい近隣の中学校が上位になっている。宮城教育大付属や広瀬も増えつつある。

宮城一高=仙台市青葉区八幡

▼宮城一高(定員=普通科200人、国際探究科・理数探究科80人)
(1)仙台一(615)=166
(2)宮城教育大付属(472)=130
(3)五橋(674)=97
(4)上杉山(494)=95
(5)広瀬(758)=92
 仙台一は県内でも数少ない私服の中学校で、ほとんどの生徒が学習塾に通うなど教育熱が高いとされる。中心部の中学校が多いのは仙台二高と同じ傾向。直近3年は長町が増えている。

仙台二華中高=仙台市若林区連坊

▼仙台二華高(定員=普通科240人)
(1)富沢(966)=70
(2)長町(894)=69
(3)五橋(674)=62
(4)宮城野(737)=47
(5)名取市増田(776)=41
 仙台二華中からの内部進学が約4割を占める。高校からの入学者は富沢、長町の南方面、五橋、宮城野といった近隣が多い。名取市増田、柳生(572)、中田(683)などの名取川以南地区も目立つ。

[宮城県の公立高入試制度]2020年度に一新され、従来の前期選抜と後期選抜が一本化されて「第1次募集」として実施。「共通選抜」「特色選抜」の2通りの方法で合否を判定する。どちらを先に実施するかは学校によって異なる。

 共通選抜の合否判定は学力検査点(5教科、500点満点)と調査書点(195点満点)の上位者から順に選抜する。特色選抜は各校が独自に設定する学力検査点や調査書点、それに面接、実技、作文の合計点や調査書の内容も踏まえて総合的に審査する。

 「第2次募集」は合格者が募集定員に満たない学校で実施される。

【動くグラフ】難関校の出身中学

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