社説(12/25):来年度政府予算案/「成長と分配」借金が下支え

 膨張に歯止めがかからず、予算規模はまたも過去最大となった。

 きのう閣議決定された2022年度当初の政府予算案は、一般会計総額が107兆5964億円と10年連続で最多を更新した。100兆円を超えるのは4年連続だ。

 新型コロナウイルス対応に多額の経費を充てることは論をまたないが、問題は財源だ。歳入の3割強は国債の新規発行で賄うため、国家財政はさらに悪化する。他の支出を削ってコロナ関連予算を捻出する努力が足りない。

 積極的な財政出動は「危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行い、万全を期する」との基本方針に基づく。例年踏襲してきた「歳出改革」「聖域なき徹底した見直し」といった文言は消え、「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」と強調した。

 岸田文雄首相が掲げる「成長と分配の好循環」を実現するためだとはいえ、借金に依存した財政拡大路線は、国の成長に対する期待を低下させ、企業は設備投資や雇用を抑制しかねない。

 国債の新規発行額は36兆9260億円を予定する。2年ぶりに減らすが、予算は例年補正を重ねて増大しており、借金は増える一方だ。

 来年は夏に参院選挙があり、選挙向けに補正予算を編成することが予想される。大型補正を組むため、当初予算の発行額を抑えたとみるのが妥当だろう。

 22年度は団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、社会保障費の自然増が4393億円に上る。歳出全体の3分の1を社会保障費が占め、初めて36兆円を突破した。

 防衛費が過去最大の5兆4005億円となったことも歳出増の要因だ。次期戦闘機の研究開発費を大幅に増額した。防衛省は21年度補正予算と一体で「防衛力強化加速パッケージ」と位置付けており、総額は6兆円を超えた。

 中国や北朝鮮への対応が念頭にあるが、防衛費は8年連続で最大を更新し、総額は目安とされてきた国内総生産(GDP)の1%を上回る見通しだ。国会は予算の内容を厳しくチェックすべきだ。

 一方、税収も過去最大だ。21年度当初予算比で7兆7870億円増の65兆2350億円を見込んだ。

 政府は21年度補正予算の成立を受け、22年度の実質GDP成長率見通しを7月時点の2・2%から3・2%に上方修正した。税収見積もりに反映されており、お手盛りの甘い読みと言えまいか。税収増予想が歳出抑制のたがを緩めた感も否めない。

 岸田政権初の本格予算は「聖域なき歳出改革」の旗を降ろした上に、収束が不透明なコロナ禍から脱し、景気が回復することを当てにしている。日本経済の潜在力が大きく損なわれるリスクをはらむ予算編成である。

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