内閣府の有識者会議は日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に伴う被害想定を公表した。地震発生の時季や時間帯で被るダメージは異なるため、3パターンの被害量を示した。積雪寒冷地の課題となる低体温症の要対処者数も推計している。東北の広域的な防災対策の立案に役立つ基礎資料であり、各自治体は連携して有効活用してほしい。
今回の被害想定は、有識者会議が昨年4月と9月に発表した各海溝の最大=マグニチュード(M)9=クラスの地震が起きた場合の震度分布、津波高に基づく。
パターンは(1)木造建築物内の滞留人口が少なく、迅速な避難が可能な「夏場の昼」(2)積雪・凍結で避難速度が低下し、火気の使用が最も多く出火・延焼の被害も想定される「冬場の夕方」(3)積雪・凍結に加え多数が自宅就寝中のためさらに避難速度が低下し、津波被害が最大となる「冬場の深夜」-に設定した。
その上で津波避難ビルや声掛けの有無といった防災意識の差に起因する早期避難率の程度も考慮し、建物倒壊、津波などによる人的被害を算出した。想定される最大、最小の被害量を季節、時間帯の観点から複数提示した試算は、イメージしやすく有用だ。
東北に近い日本海溝モデルの場合、死者は「夏場の昼」が6000~14万5000人、「冬場の夕方」が1万6000~16万2000人、「冬場の深夜」が4万7000~19万9000人と示された。
各パターン内で生じた大きな幅は、早期避難率の高低差による。この推計から言えることは、高い意識を持って対策を講じれば必ず被害量を抑えられるということだろう。
有識者会議は加えて、避難施設の活用・整備や感震ブレーカーの設置などで死者数の最大値から8割を減らせるとみる。値の大きさにうろたえるのではなく、犠牲者をなくす対策に知恵を絞りたい。
避難後に長時間、屋外で寒風にさらされ、低体温症による死亡のリスクが高まる要対処者は、2次避難が困難な場所に逃げた人を推計した。「冬場の深夜」を前提に、日本海溝モデルは4万2000人、千島海溝モデルは2万2000人と算出した。
宮城県が公開する資料によると、10月末現在、東日本大震災で1万568人が死亡した。うち、929人が震災関連死と認定されている。3月の降雪時に起きた震災の教訓を生かすために、低体温症への細密な施策も講じたい。
内閣府は「起こり得る事象を冷静に受け止め、『正しく恐れる』ことが重要。行政に加えインフラ、ライフラインの施設管理者、企業、地域、個人が対応できるよう備えることが必要だ」と説く。
この被害想定は総論でしかない。各自治体には地形や人口、高齢化の度合いなど、地域のさまざまな状況を捉えた対策の立案が求められる。
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