デスク日誌(1/9):ドナー登録

 二十数年前、17歳の子どもを白血病で亡くした女性を取材した。「闘病中の患者や家族に生きる希望を見つけてほしい」。発足間もない骨髄バンク事業を軌道に乗せようと奔走する姿に共感し、ドナー登録した。まだ登録者が10万人に満たなかった頃だ。

 日本骨髄バンクが先月、30周年を迎えた。登録者は53万人を超えたが、全ての患者が救えるようになったわけではない。白血球型の適合するドナーが見つかる確率は9割以上でも、実際に移植を受けられた患者は6割未満。適合した登録者の多くが20、30代で、検査や入院の時間を取りづらいと提供を見送る人が少なくないという。

 移植を受けた患者家族の話が骨髄バンクの機関誌にあった。ドナーが見つかった喜びを「真っ暗な空から金色に光る一本の糸が降りてきた」とたとえ「その糸が切れないようにひたすら願い続け」たとつづる。

 ドナーに登録できるのは18~54歳。「卒業」の日が近づく。希望の糸のもう一方を支えることができるのは、若く健康だからこそ。かなわぬ願いは下の世代の勇気に託したい。
(コンテンツセンター部次長 伊東由紀子)

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