(172)誰の忌か岬は冬晴であつた/柿本 多映(1928年~)
見渡す限りの海。空は雲ひとつ無い冬晴れ。冷たい海風が頬をうつが、不思議と心地がいい。そんな情景だろうか。ふいに、今日この日は誰かの命日なのだという思いが頭をよぎる。無数の故人がいて、残された無数の悼…
関連リンク
- ・(171)ゴリラごろ寝春待つでなく拗ねるでなく/西村 和子(1948年~)
- ・(170)爛々とあかつき粥の窓に星/瀬川 虎年子(1902年~?)
- ・(169)枯柏百年農家鎮守して/百合山 羽公(1904~1991年)
- ・(168)みづうみのくろがね色の淑気かな/山本 洋子(1934年~)
- ・(167)山門の内にいつとき焚火かな/蓬田 紀枝子(1930年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。