3度の津波、負けぬ 陸前高田の親子「カキでまた頑張る」

 南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火に伴う津波が押し寄せた岩手県陸前高田市で、養殖施設に被害を受けた漁業者が復旧に向けて歩み始めている。「一歩ずつ進むしかない」。東日本大震災の痛手から立ち上がった鈴木栄さん(70)、晃夫さん(41)親子は再び前を向く。

ほどいたロープを引き揚げる栄さん(右)と晃夫さん。カキの多くがロープから落ちていた=18日午前8時20分ごろ、陸前高田市の広田湾

 冷たく強い西風が吹き付け、時折雪が舞った18日朝。同市小友町の両替漁港にカキを水揚げした2人は再び船に乗り込み、市内の広田湾に浮かぶ養殖いかだを目指した。

 潮位の変動でカキが育つロープが絡まった。いかだの上に移ると、箱眼鏡で海中の様子を確かめながら1本ずつほどいた。

 「どんなに丁寧にやっても落ちるカキはある。それは諦めるしかない」と栄さん。本来はロープにびっしりとカキが付いているが、ほどいたロープには何もない箇所が所々にあった。

 海底に沈むいかりといかだをつなぐロープも切れ、ずれ動いたいかだを元に戻す作業も必要となる。「波が穏やかならいいが、高いとそれだけ手間が掛かる」。勘を頼りにいかりを捜し、ゆっくりといかだを動かす。

 復旧にはもう数日かかる見込みで、天候次第では長引く可能性もある。「水揚げしながらだから、少しずつやるしかない」と話す。

 カキ養殖は四半世紀ほど前に始めた。2010年のチリ大地震津波で被害を受け、再開すると今度は震災の津波が全てを奪った。船も自宅も失い、ゼロからの再起となった。

 大ぶりでうま味の強いカキは好評で震災以降はファンが全国に広がったが、またも試練に襲われた。それでも「震災に比べれば今回の被害はわずか」と語る栄さん。「残ったカキでまた頑張るよ」と親子で笑顔を見せた。

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