岩手、宮城の漁業者落胆 養殖施設の津波被害広がる トンガ沖噴火

袋に砂を詰めた養殖いかだのアンカー。養殖組合のメンバーが総出で作り直しに追われた=17日午前10時30分ごろ、岩手県山田町の大沢漁港

 南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火に伴う津波が観測された岩手、宮城両県沿岸の漁業関係者は17日、養殖施設などの被害確認に追われた。新型コロナウイルスの影響で外食需要が減っている中での思わぬ打撃に表情を曇らせていた。

 潮位の変動幅が30センチだった大船渡市。大船渡湾入り口の湾口防波堤南側ではカキやホタテの養殖施設の半数が被害を受け、浮き玉の列も複雑に乱れていた。

 大船渡市漁協理事でカキやワカメを育てる細川周一さん(70)=同市末崎町=は「ロープが絡まるなど被害を受けた漁業者は多い。引き揚げるのも簡単ではない」と状況を説明した。

 カキは今季の出荷がほぼ終わり、来秋以降に出荷する分が残っていた。「水揚げできなくなれば、その分だけ減収になる」と嘆く。

 岩手県山田町の三陸やまだ漁協によると、山田湾内では養殖いかだが衝突したり定置網が絡まったりするなどの被害が出ている。

 同町大沢地区の大沢養殖組合では、カキやホタテの養殖いかだ約30基のアンカーが破損した。組合員約60人が朝から大沢漁港の岸壁でアンカーを作り直した。

 養殖組合の鈴木正幸会長(57)は「完全修復に1週間かかる。海の仕事なので津波とも付き合っていかなければならないが、新型コロナの影響でカキの出荷が年明けから減っているだけに痛い」と肩を落とした。

 宮古市の宮古漁協によると、閉伊川と津軽石川で河口付近に設けた秋ザケ捕獲用川止めの網が倒壊した。

 宮城県漁協石巻湾支所(石巻市)によると、長浜の養殖場にあるカキ養殖棚の約3割で海底のアンカーが外れるといった被害があり、養殖いかだ約90基が弓なりに曲がったり重なり合ったりした。損傷はなく、配置を元に戻す作業を急ぐ。

 市内のカキ漁師阿部真一さん(40)は「過去の災害時に受けた被害を想像したが、思ったより影響が小さくてほっとしている」と胸をなで下ろした。

 気仙沼市の気仙沼湾周辺でもカキやホタテの養殖いかだを固定するロープが切れ、位置がずれるなどしていたという。県漁協気仙沼地区支所大島出張所運営委員代表の小松武さん(46)は「漁業者によってはカキが落下するなどの被害もありそうだ。しばらくは警戒を続けたい」と話した。

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