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「記憶の素描」(4)連続する地形-石沢麻依(芥川賞作家)

 年が明けた頃、山歩きが好きな「緋山(ひやま)」さんとイェーナの街の中、ばったりと顔を合わせた。コートの中まで凍る風が吹き抜け、身体が透明になったのではないかと思うほど寒い昼下がりのことである。寒さに背を丸めたりせず、赤い毛糸帽子を被(かぶ)った彼女は、直線的な姿勢と足取りで歩いていた。「緋山」は、…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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