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「記憶の素描」(3)形の読み間違い-石沢麻依(芥川賞作家)

 3年前、イェーナに引っ越した冬、友人のDから大晦日(おおみそか)の招待を受けた。ドイツの大晦日は親しい人を招いて一緒に過ごし、年が変わる瞬間に花火や乾杯をして祝うことになる。1年の最後の夜、耳に痛いほどのボリュームで音楽が響き渡る大騒ぎも珍しくはない。しかし、Dの家には人間に対して距離を置く猫がい…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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