子どものオミクロン株感染 症状は? 受診目安は? 小児科医に聞く

 感染力の強い「オミクロン株」の出現で、新型コロナウイルスの感染が子どもの間で急増している。宮城県では1日あたりの新規感染者に占める10代以下の割合は約3割で高止まりし、保育施設や学校ではクラスター(感染者集団)が相次ぐ。小児科の診療の現状を、仙台市医師会理事で子どもの感染症に詳しいかわむらこどもクリニック(青葉区)の川村和久医師に聞いた。(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)

一般外来に訪れた子どもを診察する川村医師。別室の発熱外来も含め、診察終了の午後6時まで患者は途切れなかった=1月31日午後5時45分ごろ、仙台市青葉区のかわむらこどもクリニック

検査キット足りず

 ―子どもの感染者が急増している。

 「感染者ゼロが続いた昨年末とは状況がオミクロン株で一変した。入り口を分けた別室に準備した発熱外来のため、今は一日に何度も防護服に着替えて診療やPCR検査を行っている。患者1人当たりで通常診療の約2倍の時間がかかり、スタッフも感染のリスクがあるため神経を使う。まだ患者を受け入れる余裕はあるが、増え方次第では逼迫(ひっぱく)しかねない」

 ―検査状況は。

 「患者数の分母が桁違いに多い影響で、仙台市でもPCR検査の結果判定に遅れが出始めた。検査翌日の昼ごろには分かっていたが、最近は夜や翌々日までずれ込むようになった。さらに遅れが出てくると、濃厚接触者の診断や治療も遅れて感染が広がるという悪循環に陥りかねない」

 「抗原検査キットの枯渇も深刻だ。クリニックでも1月中旬に追加注文したが、31日までに10回分が納入されただけ。検査ができなくなってはどうしようもない。国には医療機関に安定供給ができるような方策を示してほしい。また、市販されている検査キットは玉石混交。ものによっては薬剤の品質が悪く、信頼できる判定が出ない製品もあるので注意を促したい」

見分けつきにくく

 ―子どものオミクロン株の症状は。

 「のどの痛みと発熱。せきや鼻水もあり特徴は風邪とほとんど変わらない。のどでウイルスが増えるため排出量も多く、感染力が強い。デルタ株と違い、肺の奥まで入り込むことが少ないのが重症化しにくい要因の一つだろう。ただ、発達途上の子どもは大声で話したり、友達に触ったりと感染対策を完全には守り切れない。オミクロン株になって子どもの感染が増えているのは仕方ないが、重症化リスクのある高齢者や持病を抱える家族がいる家庭は特に注意が必要だ」

 ―診断も難しい。

 「オミクロン株は専門医でも見分けがつきにくく、ほかの病気に紛れ込む可能性を警戒している。県内では感染性胃腸炎に流行の兆しがあるとして、県は1月29日に警報を出したばかり。熱がなく下痢や腹痛の症状だけで、胃腸炎と思って受診した子どもがコロナ陽性だったこともある。全員をコロナだと疑って、くまなく検査することは現実的でない。コロナ疑いの患者とそれ以外をどう見分けるのか、小児科医には細心の診断が求められている」

食料や解熱鎮痛剤の準備を

 ―子どもの治療法はどうなっているのか。

 「子どもには対症療法しかない。今のところ重症化するケースは少なく、解熱剤、せき止めの薬などの服用で治療する。経口薬の『モルヌピラビル』は18歳以上で重症化リスクのある患者が対象なので、子どもには処方できない。小さい子どもが感染した場合、家族全員が濃厚接触者となることがほとんど。万が一に備え、保存の利く食料や解熱鎮痛剤などを準備しておくと安心だろう」

 ―感染対策はあるのか。

 「子どもの行動範囲は狭い。インフルエンザと同様に、保育施設や学校の休園休校は感染拡大防止に一定の効果があるだろう。学校などで感染が広がっていると誤解されがちだが、子どもの感染は家庭内の大人から始まっている。もう一度、気を引き締めて手洗いや消毒、三密の回避といった基本的な対策を徹底することに立ち返ってほしい。3回目のワクチン接種をできる限り速やかに済ませることも大事だ」

 ―受診の目安は。

 「夜間に熱が出て、急患センターやこども急病診療所(ともに太白区)に連れて行ってもコロナの検査はしてもらえない。受診は翌日でも大丈夫なので慌てないでほしい。宮城県のホームページには検査をしてくれる登録医療機関が掲載されている。まず最寄りの医療機関に相談してほしい」

亜種『Ba2』懸念

 ―オミクロン株はいつまで猛威を振るうのか。

 「ピークアウトがいつになるかはまったく予想できない。従来、インフルエンザなどの感染症では感染者数がピークを迎えるまで急激に増えるほど、収束の流れもそれに比例して早かった。あくまで仮定の話だが、2月上旬に感染者数のピークを迎えるとすれば、1月中旬から急速に増えた第6波は2月下旬ごろ収束に向かうと考えることができる」

 「ただ、懸念されるのは日本で流行しているオミクロン株『Ba1』の亜種『Ba2』の動き。デンマークやイギリスなどで増えている。日本では空港などの検疫で確認されており、これが日本でも増えるようであれば、収束までの期間は長くなるかもしれない」

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