海上への遺体流出、平野よりリアス地形に多く 東北大災害研調査

 東日本大震災の津波犠牲者のうち、リアス海岸沿いで遺体が海上に流出したケースが多いことが東北大災害科学国際研究所の研究グループの調査結果で分かった。低体温症の犠牲者は沿岸自治体だけで確認され、津波で体がぬれた高齢者が避難先の屋内で命を落とした可能性も示唆された。

引き波の力で運ばれる

 研究グループは宮城県警から提供された9527人分の検視データに基づいて犠牲者の死因や発見状況を分析し、災害からの生存手段を探る研究プロジェクトを続けている。

 このうち海上で見つかった568人を自治体の海域別に分類すると、石巻市の203人が最も多く、女川町115人、気仙沼市114人が続いた。全体の約7割(391人)は発見海域沿岸の居住者だった。

 市町村別では、狭い湾や入り江が複雑に入り組んだリアス海岸のある気仙沼市、南三陸町、女川町、石巻市の居住者の割合が高く、女川町は8割超(97人)に上った。平野部に比べ、リアス海岸沿いは居住者の海上流出が多かった。

 遺体発見までの経過日数の中央値は、陸上(8日)よりも海上(44日)が長く、海上流出が発見を遅らせる要因であることがうかがえた。

 研究グループの今村文彦教授(津波工学)は「リアス海岸沿岸は生活圏が狭く、津波が押し寄せると平地の奥まで強い力で入り込み、引き波の力も大きくなって海上流出につながった」と指摘する。

津波でぬれ低体温症に

 低体温症の犠牲者は22人で、沿岸自治体のみで確認された。高齢者が多く、大半が屋内で見つかった。寒冷期の3月に震災が発生したため、津波でぬれた体を避難所や自宅で温めることができず、命を落とした可能性があるとみられる。

 内閣府が想定した日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震では「冬・深夜」に起きた場合の低体温症による犠牲者を、最大4万2000人と見込む。

 データを分析した門廻充侍(せとしゅうじ)助教(津波防災)は「寒冷期は非常用持ち出し袋に防寒具を追加したり、停電しても自宅で暖を取る方法を確認したりするなど備えがあればリスクは減る」と訴える。

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