(222)春光の野に飛ばさるる紙は鳥/中西 夕紀(1953年~)
春光は、文字から日差しを想像しますが、詩歌では光を含んだ春の景色全体も表しています。ほうぼうで萌(もえ)え出る芽の緑色や所々で咲き始めた花の色、ビルや道路のような無機物でさえもどことなく暖かな色合い…
関連リンク
- ・(221)今もまだ人が好きかい春の月/菅原 わかば(2002年~)
- ・(220)涅槃(ねはん)図に泣きしねずみと野路に会ふ/野見山 朱鳥(1917~1970年)
- ・(219)卒業歌靴箱に靴しづかなり/辻内 京子(1959年~)
- ・(218)春風や地球は海をみなぎらせ/小田島 渚(1973年~)
- ・(217)三月の君は何処(どこ)にもゐないがゐる/照井 翠(1962年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。