<まちかどエッセー・庄子泰浩>食品の安全性と食文化

しょうじ・やすひろさん 1960年、東京都生まれ。東北工大電子工高(現仙台城南高)卒。青果物販売業。仙台市内で3店舗営業する今庄青果社長。宮城仙台青果商業協同組合理事長。全国青果物商業協同組合連合会副会長。仙台朝市商店街振興組合副理事長。若林区在住。

 5月。仕事や運動、勉強にも取り組みやすい気温になりました。梅雨入り前のこの時期は、湿度こそ少ないですが、気温はそこそこに上がりますので、食材管理には注意が必要になってきます。

 朝市に来店するお客さまに聞くと、新型コロナウイルス禍では感染防止対策として外食を控え、お弁当や自宅で食事をする機会が増えたようです。規制が緩やかになった現在でも、その味とおいしさに慣れたのでしょうか?
 たくさんの方々がお弁当を作っているようですから、保管方法には冬場とは違う対策が必要です。冷蔵庫や保冷剤、保冷バックを活用して食中毒は避けていただきたいところです。

 東京五輪開催に合わせた食品の国際基準への対応もあり、昨年6月、食品衛生法が改正されました。食品を取り扱う全ての業者は、食品の安全性を向上させる国際的基準である「HACCP(ハサップ)」の考え方を取り入れた衛生管理が必要になりました。食品衛生責任者を立てて営業届を提出することになったのです。つまり、飲食店と同じ食品衛生講習を受講し、その基準を満たしていなければ、われわれ青果店も野菜の販売ができないということになります。

 秋田のいぶりがっこのような地域の食材で作られた漬物は、これまでのような環境での生産体制では販売することができなくなります。数年の猶予期間のうちに基準を満たした施設(自動ドアや冷蔵設備など)を整えて許可を取らなければなりません。多くの事業者は数百年続く伝統的な環境でたくあんを燻製(くんせい)していますので、このままでは継続が困難となるようです。

 当店でも秋に収穫した自慢の仙台伝統野菜の白菜を「伊達の旨塩」と「仙台鷹の爪」、「南小泉のユズ」、干し柿作りの時に出た柿の皮などで漬けこんだ「白菜漬」を売っています。おいしいと大好評なのですが販売することができなくなります。

 食の安全安心の観点からも何らかの対策は必要だと思います。しかし、事故が起こらなければ良いという考えだけで話が進むと、地域の食材が使われなくなり、食文化も大きく失われてしまうのではないかと心配しております、皆さんはどう思われますか? 皆さんからの声が必要と強く感じております。
(今庄青果社長)

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まちかどエッセー

 仙台・宮城在住の執筆者が、それぞれの活動や暮らしで感じたことをつづります。

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