文明論的に見ると時代はどこに向かうのか。多様性の時代に企業や職場はどうあるべきか。「とうほく経済」に求められる視座を週1回、4人の識者・経済人に輪番で発信してもらう。
「人の行く 裏に道あり 花の山」。茶聖・千利休が詠んだとされるこの句が大好きです。株の相場師の間でも格言とされています。みんなが右へ行くとき、一人で左に行くと、裏道に見事な桜を見つけるというものです。
江崎玲於奈氏は、多くの研究者がゲルマニウムの純度を上げることに集中していたとき、不純物を増やして「トンネル効果」を発見し、エサキダイオードを作り、ノーベル賞に輝きました。
私が1989年に日本経済新聞社内で「将来は電子新聞が主流」と言ったとき、賛同者は皆無でした。
ガリレオ・ガリレイが「地球は回っている」と言うと、キリスト教の異端審問で追及されました。ビートルズの『フール・オン・ザ・ヒル』という曲はそのことを歌ったものだそうです。
東北にもとんでもない人がいます。仙台近郊の吉岡宿の商人、穀田屋十三郎です。
江戸時代、仲間と質素倹約で1000両を積み立て、それを藩主に預けて、利息を年金にしました。庶民が殿様にお金を貸すなどという発想は奇想天外です。
この話は、歴史家の磯田道史氏が発掘して『無私の日本人』という本に書き、『殿、利息でござる!』という映画になりました。
私は中学・高校の頃、「先生それ間違っています」と何度も言って、教師からずいぶん煙たがられました。新聞や百科事典で事前に調べておいたからです。
戦前の日本や最近のロシアのように、権威や権力はある種の価値観で庶民にゆがんだ考えを押し付けます。
大事なことは事実であり、真実です。最近「エビデンス・ベースド」という言葉が強調されますが、これは「証拠に基づいて」という意味です。
世間の風潮に流され、ふらふらと意見を変える人が多い昨今、迷いのない人生を生きていくには、しっかりした本を読み、しっかりとした友人から意見を聞くべきです。
日経新聞社の中興の祖とされる円城寺次郎は、のちに青山学院大学学長になる経営学者の鵜沢昌和に「コンピューターとは何か」と問い、世界最初のコンピューターによる紙面制作とデータベース事業を立ち上げ、繁栄を築きました。
私が慶応大で教えたI君は「コペルニクスのように、たった一つの事実を見つければ世の中の常識が覆る。それが研究者の仕事だ」という私の言葉で研究者を志し、東大で博士号を取り、今は一橋大の准教授になっています。
権威や権力に巻かれるのではなく、「事実」と「真実」をベースに、「千万人といえどもわれ行かん」の気概で生きていきたいものです。
(文明デザイナー=横浜市在住)
つぼた・ともみさん 1949年、岡山市生まれ。東京教育大(現筑波大)卒。72年、日本経済新聞社入社。記者、デスク、電子メディア局次長などを経て2009年、日経メディアラボ所長で定年退職。日経電子版の礎を築いたことで知られる。
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