若者から学ぶ姿勢肝要 先読み!とうほく経済ーー佐藤律子

「男と女の職場学」(2)

佐藤律子さん

 文明論的に見ると時代はどこに向かうのか。多様性の時代に企業や職場はどうあるべきか。「とうほく経済」に求められる視座を週1回、4人の識者・経済人に輪番で発信してもらう。

■スマホいじり悪か

 もし、あなたが部下の若者を指導しているとき、相手がずっとスマートフォンをいじっていたらどうしますか。恐らく多くは「人が話をしている時にスマホを触るな」と怒鳴りたくなるでしょう。でも、ちょっと待って。実は彼らは真剣に話を聞き、スマホでメモを取っているのかもしれません。つまりスマホは文房具と一緒。メモを取る=紙とペンは、「Z世代」と呼ばれる25歳以下には特に通じないのかもしれません。

 昭和の時代には会社成長の原動力にもなった職場の上下関係、つまり「縦社会」の常識も、現代の若者には通用しません。理由は彼らは幼い頃からツイッターなどの交流サイト(SNS)で「フラットな関係」を保つことに最も気を使ってきたからです。個人主義化しているものの集団の中で意見を主張するのは苦手。競争したり相手を論破したりする願望は薄いのです。

 今の若者が自己主張をしない印象があるのも、SNSでの炎上やトラブルを目にしているからです。とがったことを言ったり目立ったりすると、すぐに拡散されて周りにたたかれてしまう。だから自分を守るために自己主張をしない体質になっています。つまり、「みんな平等で仲良し」という若者の感覚を、是非を論じる前にまずは理解しておく必要があると考えます。

 会議の場でも人の意見に反論したり、矛盾を指摘したり、とがったことを言う若者はほとんどいないので、見方によっては「協調性がある」と感じます。

 しかし、一筋縄ではいきません。なぜなら彼らは表面的には反抗も反発もしない代わりに、自分に合わない価値観は受け入れません。表面の調和的な態度と内面の頑固さのギャップが、Z世代の特徴です。

■「やれ」では済まない

 上司が部下に仕事をさせるとき、昭和は「いいからやれ」で済みましたが、令和の若手にはもう通用しません。上司には彼らを納得させる理屈や説明能力が求められます。もし上司が高圧的な態度を取った場合、彼らは目に見えるような反発はしませんが、「この人とは合わない」とLINEのブロック機能のごとく、コミュニケーションを避けるでしょう。

 世代の傾向を絶対視する必要はありません。もちろん、例外もたくさんあります。ただ若手社員とうまくやっていくために、彼らが生きてきた時代や価値観を知る努力は重要。たとえ未熟と感じても「意見を聞かせてほしい」と耳を傾ける。SNSの使い手で感性豊かな若者から積極的に学ぼうとする姿勢が肝要です。

 若手が安心して意見ができる環境をつくることは、令和時代の上司や先輩に求められる最も大事なコミュニケーションスキルと考えます。(一般社団法人「異性間コミュニケーション協会」理事長=塩釜市在住)

さとう・りつこさん 1972年、塩釜市生まれ。仙台市内のホテルなどに勤めて婚礼を企画した経験を元に2001年、「アートセレモニー」(塩釜市)創業。全国の自治体で婚活や「モテ講座」などを手がける。16年、異性間コミュニケーション協会を設立。育てた認定講師は全国に200人を超える。近著「夫を変える! 魔法の言い方」など著書は8冊。娘は台湾の大学に留学中で、自社取締役の夫と2人暮らし。

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