仙台圏4病院再編「移転は反対、対応も探る」仙台市医師会・安藤会長

 宮城県が主導する仙台医療圏4病院の再編で、名取、富谷両市が5月末、新病院の建設候補地を県に提案した。仙台市から東北労災病院(青葉区)と仙台赤十字病院(太白区)が移転する構想を巡り、市医師会の安藤健二郎会長はインタビューに応じ「移転は反対だが、移転を想定した市内の医療提供体制も並行して考えていかなければならない」と強調した。(聞き手は報道部・高橋諒、東野滋)

 [あんどう・けんじろう] 東北大医学部卒。同大医学部第2外科助手などを経て、2000年にあんどうクリニック(太白区)開院。20年から現職。仙台市出身。62歳。

仙台市は宮城県との議論リードを

 -市の医療の在り方を考える有識者会議の座長を務める。具体的な候補地が示されたことをどう捉えるか。

 「4病院の統合、合築を検討する中で、具体性を求めていた部分もあり、候補地への考え方が分かった。知事の選挙公約でもあり、不退転の決意で臨んでいるのだろうが、市医師会としては反対だ。仙台市民の命と健康を守る医療の場を失うことになりかねない」

 -2市が提案した候補地の印象は。

 「名取市の候補地は国道4号沿いにあり、仙台東部道路の名取中央スマートインターチェンジからも近く交通アクセスは良い。富谷市の候補地は周辺地域の今後の人口減少を考えると、大きな規模の病院がうまくやっていけるか心配はある」

 -東北労災、仙台赤十字両病院が仙台市外に移転した場合の問題点は。

 「2病院とも急性期病床だけでなく、地域包括ケアの病棟を持っている。在宅や介護施設の患者、他の急性期病院からの転院を受け入れる重要な機能があり、これらが市内から失われれば、仙台市の医療に悪影響が出るだろう」

 -県は仙台市の急性期病床が過剰だということも論点にしている。

 「それぞれの病院を大きく動かさずに急性期病床を減らし、回復期病床を増やすのが理想だ。しかし、このような病床転換は病院経営や医師の確保に関わることなので、全国で同じ課題を持つ都市でも転換は進んでいない」

 -建設候補地の提案で、再編構想は新たな局面に入った。

 「県の姿勢はなかなか変えられないと感じているのも事実だ。市民のことを考えれば医療の空白をつくってはならず、2病院移転後の対応も検討する必要がある」

 -候補地提案を踏まえた市の有識者会議の今後の議論は。

 「病床数のバランスを含めた市内の医療の将来像を考えていきたい。仙台市も将来の医療提供体制に強い問題意識を持っているが対応が慎重過ぎる。市にはリーダーシップを持ってもらい、県全体で調和の取れた医療提供体制を構築するための議論を県と進めてほしい」

[仙台医療圏4病院再編構想]宮城県は2020年8月、仙台赤十字病院、東北労災病院、県立がんセンター(名取市)の3病院での連携・統合構想を表明。21年9月、赤十字病院とがんセンターを統合し、県立精神医療センター(名取市)と労災病院を合築してそれぞれ拠点病院を新設する枠組みに変更した。新設する2病院の誘致をそれぞれ目指す名取、富谷両市が22年5月27日、建設候補地を名取市植松入生(いりゅう)、富谷市明石台地区と県に提案した。

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