原発事故、国の責任否定 避難者訴訟、最高裁が初判断 「想定超す津波防げず」

判決を聞いて抗議の声を上げる原告の支援者ら=17日午後3時30分ごろ、東京都千代田区の最高裁前

 東京電力福島第1原発事故で被災した住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で、最高裁第2小法廷は17日、国の賠償責任を認めない判決を言い渡した。全国で約30件ある同種訴訟で最高裁が判断を示したのは初めて。関連訴訟に大きな影響を及ぼすとみられる。

原告約3600人

 4件は福島、群馬、千葉、愛媛の訴訟で、原告数は計約3600人。高裁段階では、群馬訴訟を除く3件で国の賠償責任が認定されていた。

 菅野博之裁判長は、政府機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」に基づいて東電が08年に実施した試算と比べ、東日本大震災の津波は規模が大きく、襲来した方角も想定と異なったと指摘。「国が想定に基づいて東電に対策を取らせても、大量の海水が主要建屋に浸入して同様の事故が起きた可能性がある」と指摘した。

 原子炉主要建屋を水密化すれば事故を防げたとする原告側の主張については、事故前は防潮堤設置が津波対策の基本だったとした上で「(水密化を)定めた法令も、指針となるような知見もなかった。海外でも一般的に採用されたことはうかがえない」と退けた。

 裁判官4人のうち3人による多数意見で、三浦守裁判官は反対意見を付けた。原発事故を引き起こした巨大津波を国が予見できたかどうかが大きな焦点だったが、最高裁は判断を示さなかった。

 4件の訴訟を巡っては、最高裁が今年3月に東電の上告を退け、計約14億3000万円の賠償命令が確定していた。最高裁が国の賠償責任を否定したため、東電単独で賠償金を支払う。

 原子力規制庁は「国賠法上の違法性は認められなかったが、福島の復興に向けて廃炉作業が安全、着実に進むよう、原子力規制の立場から十分な監視や指導をしていく」、東電は「引き続き、復興と廃炉の両立や賠償の貫徹に向けて全力で取り組んでいく」との談話を出した。

福島第1原発事故を巡る経過

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