東京電力福島第1原発事故の避難者らが損害賠償を求めた4件の訴訟で、最高裁第2小法廷は17日、国の責任の有無に関する初の判断を示す。4件は高裁段階で判断が分かれた。国が巨大津波を予見することができたかどうかが最大の焦点となっている。
原発事故で避難を強いられた住民らによる各地の集団訴訟は約30件。最高裁が今回判決するのは、福島、群馬、千葉、愛媛の4地域で起こされた訴訟だ。
二審の争点ごとの判断は表の通り。群馬訴訟の控訴審判決(東京高裁)のみ、国の責任を否定した。政府機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」の信頼性が、実質的な判断の分かれ目だった。
当時「津波」を巡って二つの見方が存在した。長期評価は東日本沖の海溝沿いで巨大地震が「どこでも起こる」としたのに対し、同時期に土木学会がまとめた「津波評価技術」の見解は「福島沖での大津波の発生は考えにくい」だった。
前者の見解に基づけば第1原発は浸水の危険が明らかだったが、国と東電は後者を重視した。「津波評価技術に準拠した対応を取っていた」との主張を展開した。
群馬訴訟で東京高裁は、国の言い分を是認した。判決は長期評価に対し複数の専門家から異論があった経緯に触れ、長期評価には「国が直ちに対策を命じなければならない程の信頼性はなかった」と結論付けた。
対照的に福島、千葉、愛媛訴訟の控訴審判決は長期評価を肯定し、東電に津波対策を命じなかった国の責任をはっきりと認めた。
千葉、愛媛訴訟の控訴審判決は、二つの見解はどちらも専門家が集団で議論を重ねた結論であるから「信頼性は同等」と解釈。万が一に備えて長期評価を考慮すべきだったとした。
福島訴訟の仙台高裁判決は、逆に津波評価技術の信頼性を疑問視した。土木学会の策定部会に東電を含む電力会社が関わっていた事実を重く捉えた。
高度な科学的知見の対立に、司法の立場でどう軍配を上げるかが問題となる。仮に長期評価を踏まえた津波対策を施していれば事故は防げたか、という因果関係に絡む論点も同様だ。
群馬訴訟の東京高裁判決は「当時の知見や技術では事故は不可避」と判断した。長期評価に基づく津波予測よりも、東日本大震災の津波の方が大きかったことを理由の一つとした。
千葉、愛媛訴訟の控訴審判決は、防潮堤の整備と設備の水密化をしていたならば「浸水はしても過酷事故は免れた可能性が高い」と断じた。仙台高裁判決は正面からの判断を避け「事故は防げなかった」とする国の主張の根拠の乏しさから「事故は回避できたと推認する」と判示した。
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