女川原発周辺4市町の避難経路が浸水域に 最大級津波想定

女川原発の重大事故に備えた政府と宮城県の原子力総合防災訓練。県の新たな津波想定では主な幹線道路の浸水が見込まれる=2月、栗原市

 宮城県が今月10日に公表した最大級の津波浸水想定で、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の重大事故時の広域避難計画を策定した30キロ圏7市町のうち女川、石巻、東松島、南三陸の4市町の避難経路が浸水域に入った。主な幹線道路や避難先の一部が津波被害を受けると見込まれ、各市町は計画見直しといった対応を迫られそうだ。

 避難計画に基づく4市町の人口(2019年4月時点)と避難先の市町村は表の通り。女川町は全町民約6500人が栗原市に移る。ほぼ全域が30キロ圏に入る石巻市は約14万3700人が県内27市町村に、東松島市は全市民約3万6500人が5市町に分散避難。一部が30キロ圏に含まれる南三陸町は約1700人が登米市に避難する。

 女川町は中心部を通る国道398号などを避難経路に使うが、新想定では398号の大半が10~20メートルの浸水域に入った。町北側の石巻市雄勝地区を経由するルートなど複数の予備道路を設定しているが、いずれも浸水が予想される。

 須田善明町長は「複合災害は念頭に置いており、道路が寸断された場合はヘリコプターによる避難も想定している。複数のルートを事前にシミュレーションすることが重要だ」と語る。

 石巻市は398号や国道108号を含む幹線道路のほか、原発5キロ圏内の予防的防護措置区域(PAZ)や「準PAZ」に当たる牡鹿半島南部からの避難経路になる県道石巻鮎川線、女川牡鹿線が複数の箇所で5~20メートル浸水するとされた。

 市危機対策課は「新想定通りに浸水すれば万が一の避難時に影響があり、再検討が必要な箇所も出てくるだろう」と避難計画の見直しを示唆する。

 ほぼ全域が原発5~30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)に当たる東松島市は避難で使う国道45号などが浸水域に入った。内陸部に予備経路を定めているが、避難先の名取市や岩沼市、亘理町の小中学校といった一部避難所で浸水が想定される。東松島市防災課の担当者は「避難計画に影響するため、県と対応策を検討したい」と言う。

 南三陸町は避難経路のうち沿岸部の45号、398号などで浸水が想定される。町によると、従来から避難経路の浸水を見込んでおり、計画の見直しは予定していない。

 県原子力安全対策課の担当者は「新想定が避難ルートや避難所の見直しに影響すると認識している。変更が必要と各市町が判断すれば県としても助言したい」と話す。

[女川原発の広域避難計画]重大事故時に半径30キロ圏の石巻、登米、東松島、女川、涌谷、美里、南三陸の7市町の計約20万人が宮城県内31市町村に逃れる。各市町は2017年3月までに経路や避難先を定めた計画を策定。内閣府や県などでつくる女川地域原子力防災協議会が取りまとめ、20年6月に政府の原子力防災会議で了承された。

河北新報のメルマガ登録はこちら
原発事故・放射線」

復興再興

あの日から

復興の歩み

企画特集

先頭に戻る