津波を考慮して規制権限を行使しても、想定外の規模、方向の津波による事故は防げなかった。だから、対策を命じなかった国に責任はない-。果たして、そんな理屈が通るのだろうか。
万が一にも放射能漏れにつながる過酷事故を起こさないよう、遅滞なく最新の知見を反映した対策を施す。それこそが、国が原発を規制する理由であるはずだ。
「想定外」を理由に国の不作為が許されれば、原子力安全は確実に後退する。原発のこれからに深刻な不安を残す判決と言わざるを得ない。
東京電力福島第1原発事故の避難者らが国と東電に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷がきのう、国の責任を否定する判決を下した。
訴訟は福島、群馬、千葉、愛媛の各県で起こされ、二審は群馬を除く3訴訟で国の責任が認められていた。
主な争点は巨大津波は予見できたか、対策を講じていれば事故を防げたか-の2点。
国の責任を認めた判決は(1)巨大地震は国の機関が2002年に公表した「長期評価」で予見できた(2)国、東電が速やかに検討していれば、02年末までに巨大津波も予見できた(3)長期評価は信頼でき、国も同時に危険性を認識していた-との前提に立っていた。
これに対し、最高裁が今回最大の焦点としたのは、東電が08年、長期評価に基づき、最大15・7メートルの津波の可能性を示した試算結果と実際の津波の差異だ。
第2小法廷は実際の津波の方向は試算と異なった上に、浸水深も試算の規模を超えていたとして、当時「対策の基本とされた防潮堤建設では、浸水を防ぐことはできなかった」と断定した。
原告側は防潮堤の設置と合わせ、建屋の浸水を防ぐ「水密化」を行っていれば事故は防げたと主張したが、判決は浸水を前提とした防護措置に関する法令や知見は当時なかったとして退けた。
だが、この判断は大いに疑問だ。原子力安全・保安院は国内の地震津波研究の進展やインドのマドラス原発が津波により緊急停止した事象などを受け、06年には電力会社などとの勉強会で水密化について検討していたからだ。
東電は原発の稼働率低下を恐れ、常に新たな規制や対策を逃れようとしてきた。事故を防げなかったのは、国が技術や情報量にまさる「電気事業者のとりこ」(国会事故調査委員会)となり、対策が後手後手に回っていたからではなかったのか。
今回の判決によって、一つはっきりしたのは、現行法では「想定外」の災害に伴う原発事故について、国は容易に免責されるということだ。
国が安定供給や脱炭素の重要性を強調し、原発の再稼働に前のめりになろうとも、立地地域はさらに慎重にならざるを得ないだろう。
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