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(373)匍匐(ほふく)して花野に斃(たお)れ帰らざる/井口 時男(1953年~)

 句集『その前夜』より。秋の草花が咲き乱れる花野は平和の象徴に思える。しかし戦争はその花野を過酷な戦場へと一変させる。匍匐前進する兵士たち。生死の境にいる兵には、草花は身を隠す物でしかない。そして銃撃や爆撃により命を奪われた兵が斃れた花野は、墓標のない悲しみの墓原と化す。句集題の句は<その前夜(いま…

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 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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