(376)秋暑けふわれも土俵に塩撒(ま)きたし/津高 里永子(1956年~)

 相撲で力士が塩を撒くのは土俵を清めるためだが、作者にも清めたい「土俵」があるという。それは仕事や生活という日々の闘いの場や、さらには社会の理不尽さも含まれるか。そういえば、相撲は女人禁制として、女性を土俵に上げないという伝統を続けている。土俵は神聖な場だから、穢(けが)れを避けるためとの説もあるが、どうも釈然としない。そんなこんなの暑苦しさに、「けふ(今日)」こそは塩を撒いてやろうという諧謔(かいぎゃく)の句である。句集『寸法直し』より。(永瀬十悟)

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら
秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


企画特集

先頭に戻る