新時代、東北勢の躍進期待 仙台育英高の甲子園優勝、元監督の竹田利秋さんに聞く

仙台育英の東北勢初制覇を喜ぶ竹田さん=14日、横浜市の国学院大グラウンド

 第104回全国高校野球選手権大会で、仙台育英が東北勢初の頂点に立ってから22日で1カ月。1989年夏に仙台育英を初の準優勝に導くなど、甲子園での戦い方を熟知する国学院大野球部総監督の竹田利秋さん(81)に100年越しの快挙や東北勢の現状、今後の展望について聞いた。(スポーツ部・佐々木貴)

複数人の好投手

 仙台育英の優勝を改めて祝福したい。しっかりしたチームづくりができていた。ミスで自ら崩れることがなく、試合ごとに力を付けていった。甲子園ではよくあることで、優勝するチームの特徴といえる。

 甲子園では勝ち上がるにつれて日程が過密になる。これまでは疲労という敵の前に投手が本来の力を出し切れなくなっていた。仙台育英の戦いぶりを見て分かるように、エース1人に頼るのではなく、2人以上の好投手が不可欠だ。

 東北勢はいつ甲子園を制してもおかしくなかった。2011年夏から3季連続準優勝した光星学院(青森、現八戸学院光星)の例をとっても、実力は全国レベルにあった。今年も5校が初戦を突破し、準決勝では史上初めて仙台育英と聖光学院(福島)の東北勢対決が実現した。

組み合わせの妙

 経験を踏まえて以前から指摘していたが、優勝するには実力と勢いに加えて何かが必要になる。その一つが組み合わせの妙。仙台育英が準優勝した89年は1回戦から第4試合が続いた。決勝で対戦した帝京(東東京)は2回戦から登場し、第1試合が多かった。

 1試合少ない方が体力の消耗を抑えられる上、第1試合は心身のコンディションが調整しやすい。予定通り試合が始まり、終了後はリラックスできる時間が長い。逆に第4試合は待ち時間が長く、精神的負担がのしかかる。就寝時間は午前0時を過ぎる。(2回戦からで第1試合が続いた)今夏の仙台育英は、そうした点でもマイナス要素が見当たらなかった。

 これまで、東北勢に優勝経験がないことが出場校の重荷になるという見方もあったかもしれないが、そう感じたことはない。負けるのは実力が足りないから。監督、選手は甲子園を目指して必死に地方大会を勝ち抜き、聖地で1回でも多く校歌を歌いたいと思う。その積み重ねが、無敗のまま優勝につながる。

「須江流」で頂点

 ついに東北勢が歴史の扉を開けた。最初に宮城のチームが優勝したが、残る5県のチームは各地域で最初に優勝旗を手にすることを目標に頑張るのではないか。そうした点で、仙台育英の快挙を監督がどう捉え、選手に伝えるかが重要だ。須江航監督は「日本一からの招待」というスローガンを掲げて選手を鼓舞した。まさに「須江流」の手腕で頂点に立った。

 北海道、東北は野球後進地域ではなくなった。関東、関西のチームだから強いということでもない。全国的に、甲子園出場校の強さは地域ではなく固有名詞で判断される時代。東北のチームが立て続けに優勝する可能性もあるだろう。さらなる躍進を期待している。

【たけだ・としあき】1968年から宮城・東北高、85年から仙台育英高の野球部監督を務め、春夏通算で27度甲子園に出場。歴代15位の30勝(27敗)。96年から2010年まで国学院大野球部監督を務め、退任後に総監督となった。和歌山県出身。

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る