あなたはどんな本を並べますか? 「本棚オーナー制」の図書館、東北にも誕生
本棚の一部を住民に有料で貸し出し、お薦めの本を並べてもらう「一箱本棚オーナー制度」を取り入れた私設図書館が東北に誕生している。安定した収入が見込める上、自己表現できるオーナー側のメリットもあり、同様の施設は全国的に増加中。住民の交流を促す新たなツールとしても注目を集めている。(生活文化部・柏葉竜)

福島県西会津町の「いとなみ」は、昨年6月のオープン時からオーナー制度を導入している。町内でゲストハウスを経営する佐々木雄介さん(35)が、宿泊客や住民らの交流の場をつくろうと古民家を改装して開設した。
高さ30センチ、幅45センチの本棚を月1500円で貸し出す。20区画を用意し、現在は町内外に住む16人がオーナー。棚には料理や宇宙、K-POPと多様な分野の本約200冊が並ぶ。オーナーが名前やメッセージを張った棚もある。
本を初めて借りる際にカード作成料300円がかかるだけで、利用は無料。施設で収蔵する約1300冊を含め、1人3冊まで借りられる。佐々木さんは「オーナー制度は住民を巻き込むきっかけになるし、棚の貸出料で事業を続けていきやすい」と言う。

多様な人がつながる場に
仙台市若林区の空き店舗で6月に開館した「荒井まちのわ図書館」は、約90平方メートルの施設で縦44センチ、幅42センチの棚を月2200円で貸し出す。80区画のうち現在は約30人が利用する。オーナーの約500冊を含め1800冊がそろっている。
宮城野区の主婦末永仁美さん(39)は9月に本棚を借り始めた。棚には食がテーマの小説に加え、「秋の食べもの総選挙」と題したボードを置いている。「はらこ飯」「サンマ」などと書いた欄にシールで投票してもらう試みだ。自身がつづる育児ブログのQRコードも棚に張った。
末永さんは「子育て中に息抜きをしたくなる時がある。オーナーや来館者と交流できてうれしい」と笑顔を見せる。
来館者の対応には、一部のオーナーや子育てサークルの会員らが交代で当たる。福祉事業会社を営む福井大輔館長(39)は「本を通じて多様な人がつながる場所になれば」と期待する。
オーナー制度導入は、2020年3月開館の「みんなの図書館さんかく」(静岡県焼津市)が先駆けとされる。同様の図書館は東北の2カ所を含め全国40カ所近くに増えているという。
さんかくの土肥潤也館長(27)は「新型コロナウイルスで、イベント型の『非日常の場づくり』が難しくなった。日常を豊かに過ごせる場所として新しいタイプの図書館に注目が集まったのだろう」と話している。

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