(415)地はたちまち化石の孵化(ふか)のどしゃぶり/豊里友行(1976年~)
作者は沖縄生まれ。季語はないが、夏のスコールのような突然の大雨を想像する。沖縄の言葉で「片降り(カタブイ)」とも言う。「化石の孵化」で表現される雨は、地球の太古の記憶が目覚めるような原初的な大雨を感じさせる。一方で、この頃日本や世界で多発している災害級の集中豪雨も連想される。大雨をもたらす地球温暖…
関連リンク
- ・(414)長き夜の対になりたきカギ括弧/花谷清(1947年~)
- ・(413)頬白やひとこぼれして散り〴〵に/川端茅舎(1897~1941年)
- ・(412)はらわたの熱きを恃(たの)み鳥渡る/宮坂静生(1937年~)
- ・(411)秋風や去年似合うた筈の服/奥名春江(1940年~)
- ・(410)鋸を挽く音遠し秋の暮/吉田富三(1903~1973年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。