(411)秋風や去年似合うた筈の服/奥名春江(1940年~)
これ、私もある!という共感を繋(つな)いでくれるのも俳句です。昨年までぴったり合っていたお気に入りの服ですが、季節が巡り、奥から引っ張り出すと何かが違います。極端に体形が変わらずとも、身体の微妙な差異や好みのわずかな変化で服は似合わなくなるものです。そんな「あるある」にアクセントとなるのが季語でし…
関連リンク
- ・(410)鋸を挽く音遠し秋の暮/吉田富三(1903~1973年)
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- ・(407)家系図に加ふる名前豊の秋/田中里香(1956年~)
- ・(406)虫の夜の星空に浮く地球かな/大峯あきら(1929~2018年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。