(433)二年(ふたとせ)や獄出て湯豆腐肩ゆする/秋元不死男(1901~1977年)
作者は1941(昭和16)年2月に「新興俳句弾圧事件」により、治安維持法違反で逮捕された。俳句の自由な表現を求めた活動が言論弾圧を受けたのだ。逮捕時の句に<降る雪に胸飾られて捕へらる>が、また獄舎に面会に来てくれた妻を詠んだ<獄凍てぬ妻きてわれに礼をなす>もある。2年後に出獄、家に着いて最初の句が…
関連リンク
- ・(432)冬鵙や日時計はけふ影持たず/加古宗也(1945年~)
- ・(431)ポケツトからキヤラメルと木の葉を出した/河東碧梧桐(1873~1937年)
- ・(430)行きずりのよそのよき子の七五三/富安風生(1885~1979年)
- ・(429)秋夕焼父断層のごと斜め/渡辺誠一郎(1950年~)
- ・(428)浮寝鳥眠りが浅い流れやう/能村研三(1949年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。