(431)ポケツトからキヤラメルと木の葉を出した/河東碧梧桐(1873~1937年)
「木の葉」「落ち葉」。私などはO・ヘンリーの「最後の一葉」がちらついてさみしげな感じを拭い去れないのだが、碧梧桐は先入観に囚(とら)われない。キャラメルのつやつやとした輝きと並列されると、木の葉の枯色も、冬日に照らされてあたたかい感じがする。「あれ、ポケットに木の葉が入っていたよ」などとトボケなが…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。