「助けて!」願いかなわず、夫は妻の手の中で冷たくなった 東北道・ホワイトアウト事故
突然の吹雪でドライバーの視界を奪った「白い悪魔」は、自動車141台を飲み込み、死者1人、重軽傷者24人の大惨事を引き起こした。大崎市古川の東北自動車道下り線で2021年1月に起きた多重死傷事故。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われたトラック運転手(56)の公判は、被告の運転の無謀さだけではなく、ホワイトアウトの恐ろしさを浮き彫りにした。
真っ白な闇に包まれ視界失う
「助けて! 助けて!」
追突の衝撃でひしゃげた乗用車の中で、一関市の無職男性=当時(65)=の妻(65)が必死に求めた救助の願いはかなわなかった。
ゴールド免許だった夫は事故当日、宮城県利府町の病院を退院した妻を迎えに行き、2人で自宅に帰る途中だった。
古川インターチェンジを過ぎた辺りから道路状況は激変した。気温は氷点下3、4度。雪が降っていない中、瞬間最大風速27・8メートルの強風が付近の水田に積もった雪を巻き上げた。
「通行止めになるかもね」。そんな会話をしながら、走行車線で恐る恐る車を走らせると突然、真っ白な闇に包まれ、視界を失った。
ドン。前に止まって…
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