2022ニュース回顧 取材ノートから>県の新津波浸水想定、揺らぐ防災まちづくり
<納得できる根拠、説明を>
県が5月に公表した新たな津波浸水想定は、東日本大震災の浸水域と浸水深を大きく上回る予測を示した。震災から11年、沿岸自治体が被害と教訓を基に進めてきた防災まちづくりが根本から揺らいだ。
想定は数百年に1度とされる最大クラスの津波が、地盤沈下や満潮、防潮堤破壊といった最悪の条件下で発生した場合をシミュレーションした。浸水面積は石巻市が震災時の1.2倍、東松島市が1.3倍、女川町は2.1倍に及んだ。
被災者が住宅を再建した集団移転団地や3市町の庁舎も浸水域に含まれた。災害時の避難所にも高い津波が予測された場所が多く、各市町は避難方法や防災計画の見直しに取りかかった。
県内沿岸部では震災後、防潮堤や河川堤防、高盛り土道路の整備、土地のかさ上げといった津波対策が進んだ。それらが完成してなお、新たな想定は震災時の津波を上回った。
石巻市渡波地区で6月に開かれた住民説明会。新想定では地区のほぼ全体が3メートル以上浸水する結果が示された。「逃げる場所がない」。住民は次々と不安を訴えた。県は「人命を守るための想定」と強調したが、「もっと早く公表すれば復興事業に反映でき、命も財産も守れたはずだ」との批判の声も上がった。
公表から半年がたっても、想定への理解が広がったとは言えない。石巻市の斎藤正美市長は市議会12月定例会で、震災後に整備した津波防御施設の減災効果がどう反映されたかを疑問視し「想定が果たして妥当なのか」と指摘した。
浸水想定は防災面以外のまちづくりにも影響を与えた。石巻市は県石巻合同庁舎跡地に民間こども園を誘致する計画を進めていたが、新想定で3~5メートルの浸水域に入ったことを受け、広場の整備に方針を見直した。危険性が高い場所に子どもを預かる施設は造れないと判断。他の施設を整備する場合にも、浸水リスクが国の補助事業活用の妨げになる可能性があるという。
市中心部は高台を除き、内陸まで広範囲が浸水する想定になっている。市の関係者は「想定通りに考えていたら、公共施設はどこにも造れない」とこぼした。
災害から命を守るため、最悪の事態を想定する必要性は理解できる。市町や住民がそれを納得して受け入れ、対策を進めるために、県は想定の根拠も分かりやすく伝えるべきではないか。(保科暁史)
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