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織機と職人の調和 栗原・綿織物「若柳地織」<アングル宮城>

<操る>「Y式」と呼ばれる織機を手際よく操る千葉さん。100年以上たった現在もリズミカルな音を響かせながら稼働する

 ガチャン、ガチャンと規則正しくも柔らかな機械の音が織り場に響く。

 綿織物「若柳地織」を製造する宮城県栗原市若柳の「千葉孝機業場」。3代目の千葉孝順さん(73)は「建物が音を吸収していて、人の耳に優しく届くようだ。4人の孫はこの音を子守歌にして寝ていた」と振り返る。

 同社は明治末期の創業。織機は1915年製の豊田式鉄製小幅動力織機(通称「Y式」)で、100年以上たった今も現役だ。

 千葉さんが先代の父親に最初にたたき込まれた仕事は、分解されたY式織機の部品を自力で組み立てること。「おかげで織機の構造を覚えることができ、自分でメンテナンスできるようになった」

 優しい肌触り、温かみのある風合いが魅力の若柳地織。昔ながらの織機と職人の丁寧な仕事がものづくりの現場を支えている。
(栗原支局・鈴木拓也)

<重厚>Y式織機を動かす歯車。戦後の最盛期は「ガチャ万時代」と呼ばれ、織機をガチャンと動かせば万の金を稼げたという
<凝視>目視で布の仕上がりを確認する千葉さん。長年の経験でわずかな異変も見逃さない
<好評>小銭入れやコースターなど多彩な商品をそろえる。新型コロナウイルス下で作り始めたマスクは人気商品になった
<熟練>慣れた手つきで糸を機械に取り付ける千葉さんの妻順子さん(69)。7色の糸を使い分けて多彩な色合いやしま模様を表現する

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