(478)吹雪くねとポストの底の葉書たち/高野ムツオ(1947年~)
自註(じちゅう)に、正月過ぎの福島駅前のポストでの作とある。「賀状の返礼や避難先の知人宛てなどに交じり、この世にはない人の名や住所がしたためられているのもあるのではと想像した」という。東日本大震災から6年、吹雪の中で、俳人の直感はポストの中に思いを巡らしている。ポストの底で極寒の一晩を一緒に過ごし…
関連リンク
- ・(477)霰して納め遅れの飾かな/石田勝彦(1920~2004年)
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- ・(474)みちのくの雪滲みたる初便り/三森鉄治(1959年~)
- ・(473)年賀状返信用に二枚買う/樋野菜々子(1999年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。