宮城一高奨学会、23年度解散せず 卒業生ら存続要望
宮城一高(仙台市青葉区)の校舎改築に合わせエアコンや机、椅子などの寄付を計画する「宮城一高奨学会」に対し、卒業生らが財産の枯渇による解散の回避を求める署名を提出した問題で、奨学会の千葉博幸理事長が河北新報社の取材に答えた。「存続を願う声を受け止め、寄付の在り方などを協議したい」と述べ、新校舎が完成する2023年度内の解散はないとの見通しを明らかにした。
理事長「給付は続ける方向」
奨学会は2日、理事会と意思決定機関の評議員会を開き、23年度の事業計画を承認した。千葉理事長によると、23年度は生徒への奨学金給付や研究助成で約350万円の支出を計画。エアコンなどの寄付は「設計や入札などの手続きを考えると、校舎完成に間に合わない」ため、盛り込まれなかった。
解散への懸念について、千葉理事長は「校舎改築時に教室のエアコンなど何らかの寄付を行う方針を15年度の時点で決めた。当時はどれほどの支出になるか不明だったため、寄付で基本財産がなくなれば定款に従い解散することになると確認したが、必ず解散すると決めた訳ではない」と説明した。
その上で「学費支援の公的な仕組みが増えたことに加え、年10万円の奨学金給付では一時しのぎにしかならないとの考えもあった」と、奨学会が役割を終えつつあると認識していたことも認めた。
2日の評議員会では、存続を嘆願する署名に理解を示す声もあったという。千葉理事長は「新型コロナウイルス禍や物価高騰などで生徒の経済環境が急変している。奨学金給付はできるだけ続ける方向で考えたい」と語った。
奨学会は毎年度、10人程度の生徒に各10万円の奨学金を給付している。卒業生らは1月30日、1000筆超の署名を奨学会事務局の宮城一高に提出した。(末永智弘)
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