閉じる

新生活「弁当作り」始めよう 手軽に、栄養バランス良く 専門家がこつ伝授<+W 共に生きる>

 物価上昇が続く中、昼食代を節約したいという人も多いのでは。就職や進学で新生活に入るのを機に、弁当作りに挑戦してはどうだろう。安価でバランス良く栄養を摂取できるおかずの作り方、調理の手間を省く工夫やこつについて専門家に聞いた。(浅井哲朗、長門紀穂子)

主食・主菜・副菜の表面積は「3・1・2」

 弁当作りの助言を仰いだのは、仙台白百合女子大(仙台市泉区)の氏家幸子准教授(給食経営管理)。管理栄養士を目指すゼミの2年生5人の協力も得て、手軽さと栄養バランスを重視したおかずのメニューを2パターン作ってもらった。

上段(パターン1)は左からイワシミートボール、ニンジンとコーンのサラダ、ジャガイモとウインナーのバターあえ。下段(パターン2)は左からチーズ入りちくわとミニトマト、小松菜とシメジと卵の炒め物、アスパラのベーコン巻き

 パターン1(写真上段)は、副菜のジャガイモとウインナーのバターあえが存在感を放つ。ジャガイモは切って電子レンジ(500ワットで7分)にかければほくほくに。熱いうちにバター、炒めたウインナーと手早く混ぜる。味付けには塩をひとつまみ。青のりの風味が優しい。

 ニンジンとコーンのサラダはマヨネーズとゴマが引き立て役となる。ニンジンはまとめて千切りしておけば使い勝手が良い。

 主菜のイワシミートボールは同大がヨークベニマル(郡山市)と共同開発した。こうしたレトルト食品や缶詰は「魚を簡単に取れる上、調理時間の短縮にも有効」と氏家さんは話す。

 パターン2(写真下段)の主菜は小松菜とシメジと卵の炒め物。麺つゆの風味が合う。小松菜はカルシウム、鉄などの栄養素が豊富で、シメジに含まれるビタミンDはカルシウムの吸収を促す働きがある。

 副菜のアスパラのベーコン巻き、チーズ入りちくわとミニトマトの2品は彩りも良く、食欲をそそる。肉類や揚げ物に偏り、見た目が「茶色」になるのはおかずの悪い例だ。

 氏家さんが勧めるのは「3・1・2弁当箱法」。弁当の表面積が主食3、主菜1、副菜2の割合になるようにすると、良好な栄養バランスを保てる。栄養学の分野で広く知られている。

 今回のおかずの場合、ご飯は同じサイズの弁当箱が適量となる。氏家さんは「10代後半、20代だとご飯分を含め弁当箱の容量は男性約800ミリリットル、女性約600ミリリットルが適正サイズ。年齢や活動量に合わせて選んだ上で『3・1・2』を心がけてみては」と助言する。

 家族の分の弁当も作るというゼミ生の桜井紅愛(くれあ)さん(20)は「キャベツやニンジン、タマネギなどを切って冷凍しておけばとても便利」と実感を込める。余った食材を適切に保存するテクニックも弁当ライフには欠かせないようだ。

「3・1・2弁当箱法」による詰め方の例。ご飯とおかず総量の面積が同じになる。ご飯にのっているのは仙台白百合女子大とヨークベニマルが共同開発した「カツオフレーク」
ビニール袋も立派な調理器具。ブロッコリー、ツナ、麺つゆを入れて電子レンジ(500ワット)で2分30秒加熱すると副菜が出来上がる
ノリとチーズのオムレツ。卵が半熟の時に一度火を止め、ノリとチーズをのせてからくるんで焼くのがポイント
弁当の調理に協力してくれた仙台白百合女子大の氏家准教授(右端)と5人の2年生

冷凍食材で時短|食べやすく切り小分け保存

 弁当作りの際、冷凍した食材やおかずを駆使すれば手間も時間も省くことができる。民間資格「冷蔵庫収納スペシャリスト」を持ち、食品ロスを削減するための食品保存や冷蔵庫の活用術を提案する冨野真美子さん(38)=仙台市=にアドバイスをもらった。

 冷凍のこつは図の通り。「野菜や肉などほとんどの食材が冷凍できる。水分が多い食材は解凍すると食感が変わるが、調理方法によってはおいしく食べられる。冷凍に向いていないとされるレタスなら炒め物、豆腐なら唐揚げなどいろいろ工夫してみては」

 食べやすい大きさに切って小分けし、ジップ袋に入れて空気を抜いて凍らせるのが基本となる。調理しやすく、時短につながるという。

 弁当箱の隙間を埋める総菜もあると便利。小学生の子どもがいる冨野さんは「ちくわカニカマ」を常備している。ちくわの穴に細長くカットした冷凍カニかまを差し込み、1本ずつラップに包んで保存する。「切り口がきれいなので弁当の彩りにも」。卵料理もだし汁などの水分を加えない卵焼きや卵そぼろは冷凍可能だ。

 冨野さんはキノコのつくだ煮、野菜のきんぴらも普段の調理で多めに作り冷凍している。ラップで小分けにして金属トレーに並べて凍らせた後、ジップ袋に入れ替えて保存する。「どの食材も1カ月以内に食べ切り、その後に新たなストックを作ってほしい」と呼びかける。

冷凍食材を使ったおかずを手にする冨野さん

関連リンク

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

最新写真特集

+W 共に生きる

 「+W」のWには「We」「With」「Woman」「Work」「Worth」などの意味を込めています。暮らし、仕事、ジェンダーなど幅広い話題を取り上げ、多様な価値観が尊重される共生社会の実現を目指します。

ライブカメラ