外国人向けの避難地図、宮城・加美町が作成 「かほく防災記者」提案
宮城県加美町は、防災ハザードマップの英語版を作成した。町内の中学生が外国人向けの防災地図の必要性を訴えたことに応え、県内でも市町村単位では数少ない英語版が実現した。
英語で経路紹介
外国人向け防災地図を提案したのは、中新田中3年の佐々木孝太朗さん(14)。河北新報社が東日本大震災の教訓や備えを学んで発信するため、中学生を対象に募集した「かほく防災記者」の1期生として2021年度に活動した。
佐々木さんは、昨年3月8日の河北新報朝刊で家族と避難訓練をしたルポを紹介。その際、町内の小鳩幼稚園の外国人講師、チェビー・コントレラスさん(42)=フィリピン出身=に話を聞き、外国人への防災情報が足りないと実感した。
佐々木さんは幼稚園から避難所までのルートを案内する地図を、英語にイラストを加えて作成。昨年12月4日の河北新報こども新聞「週刊かほピョンプレス」で紹介した。
町は河北新報で佐々木さんの提言を知り、防災地図の日本語版の更新時期を迎えていたこともあり、同時に英語版を作った。
日本語版と英語版はともに黄色の表紙でB4判の56ページ。風水害、地震などの対策や避難所一覧を盛り込んだ。英語版は1000部作り、3月に小中学校の英語指導助手に配布した。
英語版を受け取った佐々木さんは「町が動いてくれたことに驚いた。加美町にも外国人が増えてきている。避難の際に役立ててほしい」と笑顔を見せた。チェビーさんは「日本は大きな地震が頻繁に起きる。日本語版は漢字が難しい。英語版で避難経路がよく分かる」と歓迎した。
チェビーさんの同僚、パリナズ・コルディさん(34)=イラン出身=は佐々木さんが作った地図もお気に入り。「避難マップ英語版と合わせてみると、より分かりやすい」と評価した。
県土木部によると、市町村が発行する防災マップで英語版は珍しいという。町危機管理室は「町内の若者の意見に応えようと地図を作った。今後も誰一人取り残さない防災を目指す」としている。
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