名取熊野三社 勧請900年 老女伝説を後世に<アングル宮城>
名取市高舘地区にある熊野本宮社、熊野神社、熊野那智神社は「名取熊野三社」と呼ばれる。紀伊熊野の神々を信じていた名取老女が、平安末期の1123年に勧請(分霊)したとされる。今年で900年で、三社であった春の例大祭は多くの人でにぎわった。
名取老女は信仰に厚く、毎年のように紀州熊野に参詣していた。年老いてそれがかなわなくなり、勧請したとされる。中世から近世にかけて東北の熊野信仰はこの地から広まった。
「老女の信仰の深さは京の都まで届き、天皇の后(きさき)の病を治したり、室町から江戸期に能で演じられたりと広く知られた」。名取老女研究会を主宰する虹乃美稀子さん(49)=仙台市宮城野区=は、母方の実家に名取老女伝説が伝わる。
三社も老女も、もっと知られていい存在だろう。地域では夏や秋にも行事を予定し、節目の年を盛り上げようとしている。
(岩沼支局・高橋鉄男)
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