宮城・子猫の命を守るミルクボランティア 「猫は殺されるために生まれたんじゃない」
保健所などが収容した離乳前の子猫を、新たな飼い主への譲渡が可能になる月齢まで地域住民に預かってもらう宮城県の「ミルクボランティア制度」が2年目に入った。本年度は実施施設を4カ所に拡大。殺処分や育成困難で失われる小さな命を1匹でも多く救おうと地道な取り組みが続く。

宮城県大崎市の主婦若見朝子さん(55)は4月、県大崎保健所管内で初めてミルクボランティアに登録された。今月9日から生後3週間の子猫5匹を預かり、かいがいしく養育する日々だ。
2時間おきにミルクを与え、まだ自力でできない排せつを手伝う。夜中は目覚ましをかけて世話をする。室温管理に気を使い、不在時は音楽をかけて物音に慣れさせる。家族の全面的なサポートも欠かせない。若見さんは「自分の子を育てるのと一緒。大変でも楽しい。生まれた命を飼い主さんに届けられるよう育てたい」と話す。


ミルクボランティア制度は2021年度、収容中の死や殺処分を減らし、譲渡を促進しようと県職員の政策提案コンテストで1位となった動物愛護事業の一環。昨年度は動物愛護センター(宮城県富谷市)と石巻保健所で試行し、本年度は大崎、岩沼の両保健所でも導入した。
年間64匹の依頼に向けて、県内でこれまでに若見さんを含む7組が登録された。県はミルクやペットシーツ、体重計といった物資を支給・貸与し、子猫が体調を崩した場合は協力動物病院での診療をサポートする。
背景には、不妊去勢手術の未実施や野良猫への無責任な餌やりなどによる収容数の増加がある。県によると、昨年収容された猫は計821匹。うち子猫は511匹を占めた。大崎保健所管内でも305匹のうち121匹が子猫。大崎保健所の担当者は「ミルクボランティアと並行して、収容数自体を減らす取り組みを地域と連携して進めなければならない」と強調する。
若見さん自身、登録のきっかけは数年前、段ボールに入った子猫5匹が自宅前に捨てられていたことだった。「育てられないからと命を捨てる人間の無責任さが問題。猫は殺されるために生まれたんじゃない」
若見さんらは保健所と協力し、野良猫を捕獲して手術を受けさせた上で地域が共同で面倒を見る「地域猫」の普及啓発にも取り組んでいる。
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