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福井で「むすび塾」補講 「ためらわず逃げてほしい」東松島の語り部が訴え

東日本大震災の津波体験と犠牲、後悔などについて語る菅原さん

 河北新報社と福井新聞社が2019年6月に、福井県坂井市三国町地区で共催した防災ワークショップ「むすび塾」の補講として23日、三国コミュニティセンターで「東日本大震災の被災者が伝える災害の実態と心構え」が開かれた。三国町まちづくり協議会連絡会の主催、福井新聞社、坂井市などの共催。住民130人が出席し、震災の教訓を学んだ。

 語り部を務めたのは、震災遺児の心のケアに取り組む東松島子どもグリーフサポート代表理事の菅原節郎さん(73)。震災の津波で妻郁子さん=当時(53)=と長男諒さん=同(27)=を亡くし、東松島市野蒜の自宅も流失した。

 震災発生時、市議だった菅原さんは2人に近所の高齢者の避難誘導を頼み、自分は地域に避難を呼びかけるため家を出た。「移動中に車ごと津波に流されたが、民家に逃げて命拾いした」と言う。一方で2人の安否は分からず、発生11日目に市内の安置所で遺体を確認した。

 「あの時、どうして一緒に逃げようと言わなかったのか」。今も後悔の念にさいなまれていることを明かし、「逃げることは積極的に生き延びるということ。ためらわずに逃げてほしい」と呼びかけた。

 19年のむすび塾で助言者を務めた福井工大の竹田周平教授の進行で、家庭や地域の備えをテーマにパネル討論も行い、菅原さんと河北新報社防災・教育室の須藤宣毅部次長が参加した。

 補講は、むすび塾を開いた翌20年に企画されたが、新型コロナウイルスの感染拡大により開催を見送っていた。

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