(687)小鳥来て巨岩に一粒のことば/金子兜太(1919~2018年)
象徴的な意味合いの強い一句です。小鳥は秋の季語で、大陸からの渡り鳥や、山から里に下りてきた色とりどりの鳥たちを指します。季節を移り、食べるために移動する鳥たち、それらが来た巨岩の過ごす時は悠久です。一粒のことばは、単純に文字が彫られているのか、小鳥たちの鳴き声が岩にこぼれているのか、岩が魂を得て話…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。