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冬季の津波避難や低体温症対策探る 新潟で「むすび塾」 新潟日報社と共催

 東日本大震災の教訓を災害への備えに生かそうと、河北新報社は16日、防災ワークショップ「むすび塾」を新潟市北区の松浜地区で開いた。新潟日報社との共催で通算113回目。津波避難と冬季などの災害発生に伴う低体温症対策をテーマに、備えの課題と解決に向けたアイデアを探った。

参加者が東日本大震災の被災経験や防災の大切さなどの意見を交わしたむすび塾

 日本海に面した松浜地区は1964年の新潟地震で津波の浸水被害を受けた。地域は新潟県の津波浸水想定で浸水被害が予想され、松浜中などが津波避難ビルに指定されている。

 北区の北地区コミュニティセンターで開いた語り合いには住民6人と、語り部として公益社団法人3・11メモリアルネットワークスタッフの阿部任(じん)さん(29)、震災時に宮城県女川町で被災したテレビユー福島記者の阿部真奈さん(29)が参加した。

 住民からは「1人暮らしの高齢者など避難を諦めがちな人をどう誘うか悩む」「体の不自由な家族の車避難をどうしたらいいか」などの声が上がった。

 震災発生当時、宮城県南三陸町の公立志津川病院で勤務中に津波被災し、患者や避難者らを治療した東北大大学院医学系研究科准教授の菅野武さん(44)、新潟大准教授安田浩保さん(49)が助言者を務めた。

 菅野さんは「震災では津波から助かった後、低体温症で亡くなる人もいた。体がぬれると熱が奪われるので体を拭き、動いたり温かい飲み物を取ったりするなど体温を上げることが大事だ」とアドバイスした。

 共催むすび塾は通算18回目。新潟日報社との共催は初めて。

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