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「はやしのとうふ~」 軽トラで行商販売 石巻・旧林食品の味、長男受け継ぐ

商品のおいしさを客に伝えながら販売する林さん(左)

 豆腐や油揚げ、がんもを中心に製造・販売し、地元消費者に惜しまれながら、昨年6月に廃業した石巻市田道町1丁目の「林食品」の味を受け継ぐ行商販売が市内で行われている。店主だった林貞一郎さん(74)の長男伸和さん(41)が「はやしのとうふ」として再始動。おいしさをパワーアップさせ、市内で豆腐などを車で売り歩く。

 後部に冷蔵庫を据え付けた軽トラックに積み込むのは、絹豆腐や油揚げ、豆乳など約7商品。石巻市内のスーパー駐車場などで販売している。

 林食品の建物を縮小改修し、林さんらが製造に当たる。当時から生産量は30分の1に縮小したが、林さんは「自分がおいしいと思う豆腐を作り、消費者の体を中から元気にしていきたい」と意気込む。

 林食品は、市内のスーパーマーケットを中心に商品を卸してきた。近年、原材料費の高騰や物価高が経営を圧迫。大手企業の安価な豆腐が増え、経営が悪化する前に廃業を決めた。

 林さんは大学を卒業後、東京都内の大手ラーメンチェーン店に勤務。独立し、味や素材にとことんこだわったラーメン作りに没頭した。手間をかけ、いいものをつくる面白さに魅了された。豆腐作りも同じだと思い、2014年に実家の林食品に入った。

 豆腐などの大量生産に関わりながら、昔ながらのにがりを使った製法にこだわる豆腐屋を回った。全国に足を運び、作り方から経営の仕方まで全てを学んだ。断られることもあったが、何度も通い頼み込んだ。

 林食品の廃業後も修行し、味を守りつつ、より素材にこだわった少量生産の道を進むことを決めた。

 「作る工程が増えても、豆腐作りは楽しい。もっと自分も豆腐も育てていきたい」と林さん。市内の社会福祉法人と協力して、素材となる豆作りも力を入れていく。今後は林さんの妻も加わり、おからドーナツなども販売する予定だ。

<メモ>
 移動販売は、月曜午後1時半~4時、石巻市須江大平の福祉車両レンタル・販売「MRCトータルライフアシスト」の敷地内。火曜午後2~5時、同市のぞみ野2丁目の食品スーパー「あいのや石巻のぞみ野店」で行っている。同市恵み野6丁目の「グリーンサムいちば」でも商品を扱っている。同市田道町1丁目の工房でも午前9時~正午、販売している。定休日は日曜と第2、第4水曜。連絡先ははやしのとうふ0225(22)3619。

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