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思いやり、ゆずり合い 春の交通安全運動スタート 命守る活動へ全力 石巻地方

さまざまな反射材。リストバンド型、マスクに貼るタイプ、自転車用など幅広い。河北署は運転免許返納者に反射材を渡している

 春の交通安全県民総ぐるみ運動が6日、県内各地で一斉に始まる。子どもが安全に通行できる道路交通環境の確保や「思いやり・ゆずり合い」運転の徹底、自転車のヘルメット着用の順守などを重点に、石巻地方でも交通安全関係団体が15日までの10日間、啓発活動に取り組む。

<夕暮れ時、注意を 午後5時台に人身事故多発>

 2019~23年の5年間に発生した人身事故の件数は、石巻署管内が1463件、河北署管内が88件だった。

 時間別の両署の合計件数はグラフ(上)の通り。七つの時間帯で100件を超え、午後5時台は最多だった。午後4~7時台の夕暮れ時は多い傾向がある。帰宅時間帯と視界の悪い時間帯が重なり、件数を押し上げたと考えられる。

 朝の通勤・通学時間帯の発生率も高い。午前7時台は2番目、午前8時台は3番目に多く、午前6時台の倍以上に跳ね上がる。

 河北署交通課は「自動車のドライバーは対向車や先行車がいる場合を除き、ハイビームも有効活用し、視界を広げ、いち早く危険を察知してほしい。適度な緊張感を持ち、スピードを控えた運転も大事」と呼びかける。

 人身事故の発生場所別件数(グラフ(下))を見ると、「交差点」が最多で40%超えを占め、3番目に多い「交差点付近」との合計が半数以上となっている。

 直線道路などを指す「単路」が2番目に多く、3割を占める。23年6月には東松島市赤井の県道で、自動車が横断歩道を渡っていた歩行者をはねる事故が発生している。

<反射材キラリ、自分の存在知らせよう>

 暗くなる夕方以降は、視界が悪くなり交通事故が発生しやすい。歩行者や自転車利用者が、自分自身でどう交通事故を防ぐべきか。河北署交通課の山下哲哉課長に聞いた。

   ◇

 「反射材などを身に着け、自ら光ることが大切」と山下課長は反射材の活用を促す。反射材は夕方や夜間の外出時に、車のライトや街灯の明かりに反射して光を放つ。運転者にいち早く自分の存在を知らせることができる。

 肩から掛けるたすきタイプや、腕に巻くリストバンド型などが一般的だが、シールタイプもある。靴や傘、つえなどに貼ることができる。子どもが使いやすいキャラクターストラップ型などもあり、ホームセンターなどで購入できる。

 蛍光色や白色など、夜間でも目立つ服装も大事。発光ダイオード(LED)の懐中電灯やヘッドライトの着用も推奨している。

 車の運転手は、早めにライトを点灯することが大切。山下課長は「悲惨な交通事故を一件でもなくすために、一人一人が交通安全について考えてほしい」と訴える。

運転席から見た反射材の効果。身に着けていない人(左)は暗闇に溶け込む一方、たすき型や靴に貼るタイプなどの反射材を身に着けた人(右)はライトの光を受けて目立つ

「交差点、安全確認十分に」矢本西コミュニティ協議会安全部会長・尾形さん

 東松島市の矢本西コミュニティ協議会は矢本西小前の横断歩道などで子どもを誘導する見守り活動を行っている。協議会の尾形久志安全部会長(68)が活動で気付いた点などを教えてくれた。

   ◇

-矢本西小は三陸沿岸道矢本インターチェンジやJR矢本駅に近く交通量が多い。

 「見守り運動は自分が安全部会に入会した3年前に始まった。月に1回、約6人体制で臨んでいる。新入学児童が通学を始め、春の交通安全運動が行われる4月は2回に増やし、横断歩道を渡る児童の登校を補助している」

-矢本西小周辺でどの辺りが危険だと思うか。

 「学校のそばにある十字路交差点は、住民の間で危険な場所という共通認識がある。登校時間に送り迎えの車などが急ぐあまり、きちんと安全確認をせず通ることが非常に多い。見通しが悪い住宅街の道が多く、危険だ」 
 「朝の忙しい時間帯は『止まれ』の標識できちんと停止せず通り過ぎる車が多い。走って登校する児童がいるので、歩行者がいなくとも標識をきちんと守ることを心がけてほしい」

-小学生に伝えたいことは何か。

 「安全のため時間に余裕を持って、走らずに登校できるようにしてほしい。子どもたちに『おはようございます』『ご苦労様です』と声をかけられると、活動をして良かったと思う」

横断歩道を渡る児童の見守り活動(矢本西コミュニティ協議会提供)

ガチャガチャ、安全願う心ぎっしり 石巻地区安協、石巻署に設置

反射材を手にする工藤さん。ガチャの中には反射材以外に、パトカーなどのミニ模型も入っている

 石巻署交通課の窓口に「ガチャガチャ」がある。石巻地区交通安全協会が設置し、反射材などが入った「こうつうあんぜん無事故ガチャ」。カプセルの中には地域の交通安全を願う気持ちが詰まっている。

 ガチャの中身はストラップ型や服や靴に貼り付けるタイプの反射材などで、どれも手軽に身に着けられる。65歳以上か運転免許証を返納した人、安協の「会員証」を提示した人とその子どもらが挑戦できる。

 反射材の購入には2015年から毎年、協会に寄付を続ける石巻市重吉町の運送会社「河北トラック」の善意を活用した。同社の「子どもの事故防止に役立ててほしい」という思いを受け、22年11月に協会が設置した。

 設置に携わった元協会事務局長の工藤昭二さん(66)は「ガチャを回し、自分と地域の交通安全を守るためにも地元の皆さんに安協に加入してほしい」と話す。

運動期間中、石巻地方の取り組み

6日
▽石巻市交通安全運動出動式(イオンモール石巻)
▽春うらら復興ワカメ作戦(石巻・道の駅上品の郷駐車場)
▽シルバーナイト作戦(ビック矢本店・ヨークベニマル矢本店)

7日
▽蛇田街頭キャンペーン(石巻・恵み野交差点)
▽「スピード抑えて優しく走ろう牡鹿半島作戦」(牡鹿消防署前)

8日
▽東松島市出動式(東松島市コミュニティセンター)
▽「駅前ヘルメット被るっちゃ」作戦(東松島・JR矢本駅ほか)
▽女川町出動式(JR女川駅前広場、雨天時は女川町役場)
▽女川町街頭キャンペーン(女川交番前)
▽「かなん絆作戦」(石巻・広渕交差点)
▽「ナイト作戦」(石巻・元倉交差点)

10日
▽「事故に遭う人イナイ作戦」(石巻・稲井小中前交差点)
▽「交通事故防止作戦」(石巻・前谷地ハンズサトウ前)
▽「横断歩道止まるっちゃ!人波作戦」(東松島・鳴瀬検測所前)
▽「いしのまき絆作戦」(JR石巻駅前広場)
▽運転免許証自主返納者長寿祈願祭(河北署)

11日
▽春の踏切事故防止キャンペーン(石巻・水押踏切)
▽自転車ライトアップ運動(石巻・飯野川中)
▽自転車シミュレータ交通安全教室(石巻・北上中)
▽「ジョイントナイト作戦」(石巻・山下1丁目交差点)

12日
▽自転車挨拶運動(石巻・桃生中)
▽二輪車講習(東松島・航空自衛隊松島基地)
▽交通安全教室(東松島・矢本二中)
▽交通安全研修会(石巻・南光運輸)
▽「シルバーナイト作戦」(石巻・検察庁前交差点)
▽「飲酒運転根絶作戦」(東松島・JR矢本駅前飲食店街)
▽女川街頭キャンペーン(女川・特別養護老人ホームおながわ前)

15日
▽自転車街頭指導キャンペーン(石巻工高正門)
▽「シルバーナイト作戦」(石巻・大街道ビック前交差点)
▽河北イブニング作戦(石巻・ウジエスーパー飯野川店)

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