<大観音の傾き(5)>平穏な日常の担い手になりたい 山野辺太郎
陳情を受けた翌日、修司は大観音に出向いた。言葉だけでなく行動によって善処したいという気持ちがあった。水の涸(か)れた池をまわり込んで階段を上がり、竜の口をかたどった入口のまえに立つ。意を決して牙のかたわらを通り抜け、喉の奥へと入っていった。
内部はほの暗く、天井が高かった。入って左に曲がったところ…
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