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”推し”に元気もらってます!【特集】推し活で良い生活

 「“推し”に元気をもらってます」といった言葉を聞くようになった。お店の「推し活」グッズコーナーもにぎやかだ。なんだかとても楽しそうな推し活について調べてみた。

■教えて!あなたの推し活

 「推し活」っていったいどんなことをしてる? 宮城県内で「推し活」を楽しんでいる2人に、それぞれの推し活の内容と、その魅力を聞いた。楽しさ教えて!

キャラクター推し ~忙しい日常に癒やしと救い~

「推しキャラ」のクラフトホリックに出合ったのは、大学生時代。石巻のショップで、何となく買って、キャラクターのコンセプトを知り、また1つ買って…と繰り返すうちに魅力にぐっと引き込まれたという。

 都内の直営店に行ったり、旅行先のご当地デザインアイテムを買ったり。ぬいぐるみや抱き枕、ポーチなど20数点のグッズが身の回りを飾る。

 「存在自体に癒やされる」という魅力は、社会人になった数年前からより強く感じるようになった。

 もともと読書や歴史ドラマ好き。でも、社会人になると読書や映像観賞も「情報入力」「啓発」という側面が多くなり、業務関連の資格や勉強の本を読む時間も増えた。

 毎日が仕事で埋まってしまいそうな時、本に挟んだしおりや営業途中で食べるお弁当のケース、ちょっとした場面に見える「推し」が、「大げさにいうと救いにもなっているかも」と照れくさそうに話す。

 キャラクターのコンセプトは「生活の中に溶け込む」だという。会いに行く、応援するといった、いわゆる「推し活」ではない。身近に「推し」を、好きなものを感じて、力をもらえる。そんな行為が似合うキャラクターだ。

 仕事はもちろん大好きだけれど、「もし仕事が変わっても、ずっとそばにいてくれる推しが生活を支えてくれると思うんです」と笑顔で言い切る。

▶クラフトホリック大好き!さん 宮城県出身、石巻市在住。20代会社員。「アニメなど他作品とのコラボグッズも多く、種類が増えるのはうれしいけど、チェックが大変!」

クラフトホリックとは 地球に遊びに来ているCRAFT星の生物(宇宙人)たちのキャラクター。ユルさ、ポップさ、シンプルさで人をハッピーにしてくれる。ぬいぐるみやタオルなど商品多数。ファンは「ホリッカー」と呼ばれる。

地元アイドル推し ~全力のステージを、全力で応援~

 アイドル「アースエース仙台」を、より強く応援したいとの思いで昨年4月、愛知から宮城に引っ越してきた。「推し活」の軸はライブ応援だ。

 「彼女たちが全力のステージを見せてくれるので、こちらも全力で感情を込めて応援したい」と話す。

 ファン同士で声を出してステージを盛り上げる。会場の一体感、高揚感に強く魅了されている。

 「同じアイドルを推す」という共通項で、高校生からシニア世代まで年齢、職業、住む場所がバラバラで、日常では接点がない人たちとの交流が広がる。「みんなの好きを共有するという感覚です」とも表現する。

 もともとは車好きで、「アイドル」に強い興味はなかった。だが、愛知であった車のイベントでアイドルの「一生懸命なステージ」を見て衝撃を受けたという。当時の自分について「自分は何か頑張っているんだろうか」という思いが出て、一気にのめり込んだ。アイドルのイベントに通う中で、「アースエース仙台」(当時は別名称)に出会い、「推し」への情熱はより加速。転居にもつながった。2月にはイベント会場となった亘理町に行ってイチゴやはらこ飯を食べるなど「『遠征』でいろんな宮城の魅力に触れています」とも笑う。

 推しの形は人それぞれと前置きしつつ、「自分にとっては日常を離れて、自分の好き・情熱を表現できる空間・時間です」と話す。

▶ハクヤさん 愛知県出身、栗原市在住。30代会社員。ハクヤは「推し活」時のニックネーム。「週末は推しのライブに行くことが多いです」
写真提供 : SaiSプロダクション

アースエース仙台とは 「SDGs応援ユニット」として県内外で活動する4人組のアイドル。各地のイベントで歌やダンスを通じてSDGsを啓発する。埼玉、熊本で姉妹ユニットが活動する。

アースエース仙台

つまり、推し活の魅力とは…

→「推し」に触れることで、元気や癒やしをもらえる
→行動や交友の幅が広がる
→生活(または人生も!)を支えてくれる

■推し活グッズ作ってみた

 前ページ2人のアドバイスやネット情報をもとに、「うちわ」「ぬいぐるみ」(略称:ぬい)「アクリルスタンド」(同:アクスタ)という「推し活3種の神器」をかほピョンをテーマに作ってみた。ハンドメイド好きなイラストレーター・サトウヨーコさんが作業に挑戦。あなたも自分の推しで作ってみる?

うちわ ~色や言葉選びに愛込める~

文字を目立たせるため、文字背景は黄色。暗いライブ会場でも目立つようにうちわ本体は暗色のものが多いため、文字は明るく

 「うちわ」は専用キットが100均に並び、比較的とっつきやすいグッズの1つ。「推し」の名前などをプリンターで出力し貼り付ける。きれいに切り抜き、配色や配置を考え…などと考えると「想像以上に時間がかかる」(ヨーコさん)。実は今回の3種類の中で最も手間がかかったそうで「推しへの愛があればこそできる作業かも」と苦笑い。

仙台のキャラ感を出すために七夕飾りをあしらった

アクスタ ~「公式」以外のデザインこの手に~

 アイドルやアニメキャラで公式販売されることは多いが、好みのデザインを自作するのもまた良し。今回は熱で約4分の1に縮むプラ板を使い、かほピョンのイラストの形にカットして加熱。縮んだプラ板にイラストを貼る。「1度テスト加熱して、縮小率を確認するのがお勧めです」(ヨーコさん)。

ぬい ~愛込めて装いに一手間~

 布や綿など素材から作るケースもあるが、今回は既成のかほピョンぬいを使用。アイドルをイメージして、はっぴとはちまきを取り付けた。「一手間掛けて、愛情アップ」(ヨーコさん)。

アクスタ&ぬいと楽しいお出かけ

※公共の場や店舗内での撮影は周囲の迷惑にならないよう配慮を

【材料費】
▶うちわ用
コンサートステッカー 2種類…220円
パレットカラーペーパー2色分…220円
パーツシール…110円
和風ちよ紙…110円
うちわグリップ…110円
コンサート用デコうちわ…110円
▶アクスタ用
プラ板…110円
樹脂製粘土…110円
アクリルフォーム両面テープ…110円
▶ぬい用
フェルト…110円
合計…1320円

■ウイークリー独自見解 推し活用語

 「推し活」では、アイドルやキャラクター、刀・仏像といった対象ごとに「業界語」ともいうべき特別な用語が存在する。取材を通じて触れた用語の一部を紹介する。

※使う人の性別や年代、状況や地域により差異があるため、今回の「ウイークリー見解」とあなたの認識が違う場合はご容赦を!
《聖地巡礼》
▷映像作品や小説などフィクションに登場した現実の場所を訪ねる行為が原意。現在は、作品の制作会社や、推しの初ライブ会場といった推しに関連する場所を広く聖地と見なすようになっている。

《リア恋・ガチ恋》
▷推しと、恋人・婚姻関係になることを望む真剣な恋情。リアル恋に由来し、リアコともいう。男性から女性への思いを「ガチ恋」とする場合もある。アイドルなど実存する推しだけではなく、2次元キャラなどへの「リア恋」「ガチ恋」も肯定される。

《祭壇》
▷推し対象のグッズやブロマイド、記事掲載媒体など関連するものを集めた空間・場所。市販品で、キャビネット式で移動できるものや、机上で折り畳み展開できるものなども登場している。

《尊い》
▷好き、愛している、感動する、きゅんきゅんする…推しに対するあらゆる善の感情を統合した言葉。

《お布施》
▷グッズを買う、公演に参加するなど、推しの活動や存在を支えるような購買行動。単なる経済活動ではなく、「推し」への思いが入っているため、宗教的な用語を借りていると類推される。

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